第59話 初めてのチュー
香織の危機も何とか無事に乗り切り二人でリビングへ戻った。
「俊樹兄ちゃんありがとうね。実際あの時、私もうダメだって諦めてたよ」
「香織、マリアを守ってくれてありがとう。恐らくマリアだったらあの爪の一撃で体を千切られて死んでただろう。でも俺には香織も大事な存在なんだから、あんな無茶は止めてくれよな。まったく心臓に悪いぜ」
「うーん。どうだろ約束はできないかも? きっと俊樹兄ちゃんだって同じ状況でマリアちゃんを守る為なら同じ事するでしょ?」
「あ……まぁ……そうだろうな」
「それなら、どんな相手でも絶対に私達で守れるように、もっと強くなるしか無いんじゃない?」
「そうだな。解った頑張るぜ」
そう言った後で、鏡を見ながら香織が「あぁああ、ねぇここ見てよぉ」
と言って首筋を見せて来た。
俺が首筋にかみついて運んで来たので、香織の首筋にくっきりとキスマークが付いていた。
地下室に到着してからの怪我とみなされ、治って無いのか……
「こんな所に人の姿でのファーストキスは納得できないよ」と言いながら俺の唇に香織が唇を重ねて来た。
「おい、ちょっと待てよ」
「ん? 大丈夫だよ。今はこれ以上は望まないから。ありがとう俊樹兄ちゃん。私を助けてくれて」
「そうか、香織。俺は香織やマリアを守れるように、もっと強くなるぞ」
「あ、そうそう折角戻って来たんだから、今のうちにちょっと会社関係の事済ましてくるね? 俊樹兄ちゃんも一緒に行く?」
「いや、その件は香織だけが動いた方が色々都合が良いと思う。俺は今のうちに少し小説書いておくよ」
「そうなんだ、じゃぁちょっと車借りるね992に乗って行ってもいい?」
「いいぞ、気に入ってくれたみたいだな?」
「うん。もう最高だよ」
「そうか、そんなに気に入ったんならポルシェは香織用に使えばいいよ。俺は別に、もう一台買おうかな。車庫も広いし」
「ブルジョアだねぇ」
俺はパソコンの電源を入れてメールのチェックを始めた。
パソコンメールの方に車屋の青木からメールが届いてた。
『ラインも既読付かないし、こっちにメールして置いた。俺、今度博多支店の支店長で行く事になった。また連絡する』
『そうか、良かったな。転勤して来たら教えろ。転勤祝いにもう一台買ってやる。SUVみたいなオフロードに強そうなのをピックアップして置いてくれ。予算は気にするな』
そう送ったら十分後くらいに電話がかかって来た。
『おい奥田。マジか? さっきのメール』
『ああ、マジだぞ。急ぎはしないからいいのを頼むな?』
『解った、すげぇなお前。飛び切り凄いの案内するぞ。俺は来月の頭に行くから、そのタイミングで納車できるような感じで進めたいけどいいか?』
『その時には飲みにもいこうぜ、お前の出世祝いしてやるよ』
『ああ、楽しみにしておく』
そうやって電話を切った後で、小説サイトを開くと感想のチェックを始めた。
相変わらずいっぱいだな。
あ、そうだサンチェスさん達に写真印刷してプレゼントしてあげようかな?
そう思って何枚かの写真をA4サイズで光沢紙に印刷してパウチフィルムでラミネート加工をしておいた。
前の仕事で、たまに使う事が有ったので、ラミネーターとか持っていたが再び使える事が有って良かったな。
小説の方は今はチュールちゃんと出会ったあたりまで公開されてるな。
最初のチュールちゃんは可愛いけど、恰好とか薄汚れていたしイラストでもそんな雰囲気が見て取れたけど、街に行ってお風呂に入った後の写真は本当に天使みたいな可愛さだから、もっと反響がありそうだよな。
『折れ耳尻尾幼女最高です』さぁも
『感想ありがとうございます(^^)/ 崇高なご趣味だと思います』 テネブル
『テネブル人殺し過ぎ、普通に考えたらただの殺人鬼ですよね』 youko1975
『感想ありがとうございます(^^)/ 平和な日本で暮らしていると、その考えは当然ですよね。でもあの世界では相手も明確な殺意を持って来るので……例えばyouko1975さんは目の前で自分の家族や恋人が殺される状況でも、同じ事が言えるのかな? テネブルは守る為には
『テネブルは魔法の練習しないの? マリアちゃんの新しい魔法も』 sooop
『いつもありがとうございます(^^)/ 護衛任務中は中々練習するタイミングが無いんですよね。ファンダリアに戻ってから鍛えたいと思います』 テネブル
『イラスト楽しみにしてます! 文章は無くてもいいくらい。イラストの下に状況だけ書いてあれば十分かも』 akkii2020
『一応小説なので、文章も読んでほしいかも……』 テネブル
ムムム、イラスト需要が高いのは嬉しいけど、あまり文章って評価されてる感じ無いかも……まぁ俺の文章は今まで精々ジャンル別で百位以内に入った事がある程度だから今の順位で戦って行くにはもっと勉強しなきゃな。
その後は船の上でのクラーケン騒ぎくらいまで執筆しておいた。
ベチョベチョネトネトのマリボさん達のイラストは少し需要有るかな?
ゴーダさんだけ凄い嬉しそうな表情なのが気になるが……
でかいクジラは迫力あるなぁ、クラーケンを飲み込む瞬間とかが有ったら最高なんだけど、その写真は流石になかったよ。
でも切り取った脚の周りに俺が居る姿はあるから、でかさは解るかな?
香織から電話が掛かってきて『俊樹兄ちゃん。会社の設立は無事にすんだよ。口座も作ったからね。食事は外でいいかな?』
『ああ、外食の方が良いな。出かける準備をして待ってるな。迎えに来てくれ』
『了解』
香織が到着したので、今日は焼肉に行く事にした。
香織は運転が有るので俺だけビールをしっかり飲んだぜ!
「なぁ香織。前から少し思ってたんだけどさ」
「ん? なぁに?」
「これキュアポーションだけどさ、これでアルコールって抜けると思うんだけど、それでも飲酒運転になっちゃうのかな?」
「ああ、どうだろうね? 私は大丈夫だとは思うけど、それなりにこの街では有名人かも知れないから、倫理上飲む勇気は湧かないけどね? 炎上とかしちゃったら仕事無くなっちゃうよ」
「そうだよな、俺みたいな顔が知られて無い存在なら大丈夫か?」
「うん。大丈夫だと思うよ」
じゃぁお酒飲むときは北九州以外で飲むか? と思いながら焼肉を堪能した。
翌朝は坂口さんに連絡を入れ、口座番号を伝えた。
『早かったですね。早速コンサルティング業務の契約書を送りますので、確認して置いて下さい。クラウドで大丈夫ですから、今日中に御願いしますね。コンサルティング料は毎月二千万円です。表向きに使う金額はその範囲内でやりくりしてくださいね。それ以上の物を買いたい時などは別途連絡してくれれば、こちらで何とかしますから』
『解りました。よろしくお願いします』
毎月二千万で足りない買い物って一体どんなのだよ?
って思ったが今月は三千万くらい既に使ってたな……と思い直した。
「香織、毎月坂口ホールディングスからコンサルティング料で二千万円程収入があるから、それと香織の出演料を当面会社の収入として計上してくれ。香織の給料は毎月二百万程で経理上計上しておいたらいいだろ? 俺はどうしたらいいかな?」
「元々が俊樹兄ちゃんがお金使う収入源を、怪しまれないようにする事が主目的なんだから所属はして無いと駄目だよ? 役職はどうする?」
「あーじゃぁさ役職でニートって事にするか。それなら俺が外でニートって言っても嘘じゃないから」
「馬鹿じゃないの? ニートなんて役職あり得ないでしょ? でもまぁ俊樹兄ちゃんが言うならそれでいいよ……名刺作る? ニートって?」
「それは必要ないと思うぞ」
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