流星のような恋を貴女に(上)

 

 アメリアが運営テントの中でお色直しをしている間、俺は石に腰かけて息を整えていた。

 幸い、あの騒動の中でも運営のテントはほぼ無傷だった。

 彼女はソコで着替えをし、また賞品などを確かめてくると言っていた。

 コレットも、近くには居るだろうが姿はない。

 因みにばっちぃルーカスは、グルグルに縛ったあとフグ中毒の民間療法みたいに土に埋めていた。

 白目を剥いたまま動いてないけど……死んでないよね?


「流石にくたびれたな……」


 調子に乗って暴れすぎたか……今夜は良く眠れそうだ。


 モウ、モーゥ?


「ありがとハナ、平気だ。でも喉がカラカラだ……何か飲み物でも――はっ!」


 モーゥ? ! も、モーッ!?


「ふひひひひ。頑張った俺に新鮮なドリンクを用意してくれても良いんじゃないかネ? ヒントは”お”から始まって”っぱい”で終わる飲み物だ」


 モゥ、モーゥ……!


 ベタな事を良いながら、ハナの方へにじり寄る俺。すると彼女は寄った分だけ後ずさり、あと少しだけお待ちくださいと恥ずかしそうに鳴いた。


「ちぇっ、やっぱ駄目か。でも、なんであと少し? ――ぅひょ!?」


 突然、傾げた首に冷たい物が触れて飛び上がってしまった。押し当ててきた犯人、コレットはくすくすと笑いながら冷たい物――コーラ・ポーションを差し出してくる。


「お疲れオリくん。喉乾いてない?」


 何処から持ってきたのかキンキンに冷えているコーラは、瓶の表面に結露を浮かせていた。思わずゴクリと喉を鳴らす


「サンキュ、正直カラカラで――で!?」


 危う瓶を取り落とすところだった。座っている俺に前屈みでコーラを差し出すと、自然ユサリと重量感たっぷりに揺れる双子の柔山。


 もちろん、おっぱいですとも。


 コレットも服がボロボロだったため着替えたらしいが、彼女のバストをして胸元がだいぶゆったりしている。恐らくは、男性用のシャツなのだろう。

 白い谷間もあらわに、またどう見てもブラを身に付けていない。右と左の乳肉は下着という拘束が無いため、絶えず接近と離脱を繰り返している。

 先端はシャツとキスして見えないが、ふとすれば周りくらいは見えそうな角度だ。

 ゴクリゴクリと二度喉を鳴らした。

 不意にシャツの隙間が窮屈そうに歪められた。犯人はコレットの腕だ。


「……オリくんは、コーラじゃない方が良いの?」


「!?」


 見上げると、彼女は顔を赤らめて両腕で胸を隠していた。完全に気づいてた。というか至近距離でガン身しているのだから、気付かないワケが無い。

 コレットは上目遣いのまま、また胸を覆っていた腕を下に――下乳で組み直し、前に押し出すようにして強調する。


「えっと……冷たくも無いし、出るかどうかも分かんないけど……うん、頑張る。ほ、欲しいなら……良いよ……?」


「コーラ旨ぇぇ! プハーッ!」


 まったく、一汗かいた後のコーラは最高だぜ!


「もう! オリくんの意気地無し――いたたた!? ど、どうしたのハナちゃん!?」


 モゥモゥモーゥ! モーッ!


「ちょっともう、止めてったら! 服が伸びちゃう!」


 ハナの気に障ったらしく、鼻息荒くコレットのシャツを噛んで俺から引き離そうとしている。引っ張られておっぱいの形がクッキリするのも良いよねと、ウンウン頷きたい光景だ。


「なんてこと!」


 ふとその時、テントの中からアメリアの呻き声が聞こえてきた。


「どうしたアメリア、何かあったのか?」


「……逆よ。無いの」


「へ? 何が?」


「成績上位者に贈呈される筈だった賞品が! 賞金も! 何もないの! ほとんど空っぽなのよ!」


「なんだって!?」


 アメリアの訴えに俺もコレットもテントの中に駆け込んだ。

 中は意外に広く、魔力灯で照らされているため密室でも明るい。スタッフ用だろう、椅子やテーブル、簡易ベッドに飲み物や食べ物もおいてある。

 アメリアは隅の方に置いてあった巨大な金庫へ頭から突っ込んで、小振りな臀部を忙しなくフリフリしていた。

 何か機嫌の悪い猫みたいだなとボンヤリ思ってると、コレットがジトっとした目で「やっぱりお尻は違うのね……」と呟いていた。なんのこっちゃ。


「火事場の泥棒的な不届きモノがいたってことか?」


「……いえ、金庫には開けられた形跡も無いし、テント内も特に荒らされた形跡が無い……もしかして――」


 アメリアが言いたい事を、俺も何となく理解できた。

 これが怪盗の仕業なら完璧な証拠隠滅に舌を巻く所だが、あの状況は誰もが命の危機だった。そんな中で盗難するにしても、わざわざ時間を掛けて痕跡を消したりするだろうか?


 つまり、金庫の中は最初から空だったという可能性がある。


「……アメリアちゃん、金庫番は誰だったの?」


「……運営スタッフが三名ずつ、交代で鍵の管理と見張りを担当する事になっていたのだけれど、最高責任者はルーカスだったわ……」


 ルーカスを問い詰めないと断言は出来ないが、賞品に割く筈だった予算を使い、強力な召喚獣や大量の『魔石』を買い漁ったのだろう。何てヤツだ。


 ややあってアメリアが金庫から顔を出し、申し訳なさと不満さをブレンドした顔を向けてきた。


「……辛うじてコレがあったのだけれど、どうかしら?」


 おずおずと、何処と無く恥かしそうに差し出したのは三本のポーション。それぞれ違う種類らしく、表にはラベルが貼ってある。


 ・抜毛が減るポーション

 ・美人になるポーション

 ・水虫が治るポーション


「よりよってコレかよ!?」


 予算使い込んだクセに何でコレだけ用意したんだ! どんな律儀を発揮しちゃったんだよ!?


「……要る? その……『ポミケ』を救った功労者に贈る物としては、逆に失礼かもしれないけれど……」


「い、いやぁ……何だかな……そもそもコレって、効き目ある?」


「言い訳だけれど、実は割りと由緒正しい製法に則ったポーションよ。あの初代クノリの教えを踏襲してるもの」


 へぇ、だったら意外と期待できるのかも。


「なんでも、ぷらしーぼ効果? ってのを目指して作成されてるとか」


 前言撤回だ。いい加減にしろよクノリ。


 モゥモーゥ!


「ん? ハナ、お前コレ欲しいのか?」


 モーゥ!


 ハナは鳴きながらしきりと俺に頭を擦り付けてくる。あの胡散臭いポーションの……特に「美人になるポーション」が欲しいらしい。


「ふっ。こんなモン無くても、お前は美だぜ」


 も! もぅ、もー! もももーっ!


「ばっ!? 止めろよバカ、照れるだろ……」


 もーぅ――……。


「ハナ――……」


「なに二人の世界に入っているの。というか、アナタ牛の言葉が分かるの?」


「いやほら、俺とハナって相思相愛だし。な?」


 モーゥ!


「まったく説明になっていないのだけれど……ふふっ、変な人ね」


 なんだかんだ言いながら、アメリアは快く三本のポーションを渡してくれた。

 せっかくだし、くれるというのなら貰っておこう。抜け毛~とか水虫~とかも一応。念のため。将来のため。


「しかし、なんか最近牛達みんな色んな物を食うなぁ……ま、少量だし悪いモンが入って無いならいっか。ホレ」


 封を開け、中身を拾った皿に移して与える。ピチャピチャ美人ポーションを飲んでいるハナを尻目に、アメリアは軽く会釈してきた。


「……ごめんなさい。貴方の働きに見合うだけの――とまではいかなくても、何か直ぐにでも報酬を用意したかったのだけれど……」


「良いよ、気にすんな」


 つーか俺、ポーション作ってないし。薬師でも無い身分で優勝賞品とかを貰ったんじゃ、他の人に悪い。


「報酬なら後でちゃんと貰う。それで良いだろ?」


 本当は報酬の事など忘れていたが、此処は多少がめつくともしっかり要求しておこう。

 要らないと突っぱねたり、無闇にタダにしたりすれば余計な恩を売ってしまう事になる。周囲の目もあるし、お互いの為に働きの報酬は求めておく方が良いだろう。


(でも、どうすっかな……ざまぁ報酬の相場とか知らないんだけど……)


 最初、アメリアは幾らでも的な事を言ってたが、逆に難しい決定を迫られている心地だ。

 まあ俺もそれなりに頑張ったし、思い切って金貨20枚くらいは……いやいや欲張りすぎだ、金貨5枚くらいか? いやいやいや。男たるもの、時には欲求を押し通す我の強さを持たないと……! 清水の舞台からアイキャンフライするつもりで金貨12枚にしよう!


「よし。さ、そろそろ行こう。ルーカスを引き渡さないとならないし、皆と合流しないと」


「う、うん……そうね……」


「? 歯切れが悪いな……どうした?」


「いや……その……」


 ゴニョゴニョと俯いて、アメリアは一歩も動こうとしなかった。


「あ、ホラ! 向こうの方から来たよ! アメリアちゃんのトコの従業員さんじゃない?」


「!」


 ハッとして顔を上げたアメリアの瞳に、困惑と恐怖の感情が見えた。

 コレットの言うとおり、此方に歩いてくる集団がある。先頭はガタイの良い壮年の紳士。その隣には恐らくは女性で、背の高いスレンダーな――おや……?


 ともかく、述べ十名以上の人達が近づいてきた。


 向こうからやってくる一団に思うところがあるらしく、アメリアは一歩身を引くと俺の背に隠れてしまった。俺の腕にしがみつく彼女の手は微かに震えていた。


「……あの中に、まだ敵がいるのか?」


 金髪が左右に揺れる。


「皆に会いたくないのか?」


 また揺れる。


「じゃあ、どうして?」


「………………怖いの」


 長い沈黙の果てに、ポツリと言った言葉には確かに恐怖が滲んでいた。袖口を握る彼女の指が、小刻みに戦慄いた。


「動いてしまったら、夢が覚めるんじゃないかって……もしかしたら、私がこうなれたのも、貴方やコレットに出逢えたのも、あ、あの人が生きていたのも、ぜんぶ夢だったらって思うと、足がすくんで一歩でも動けないの……」


「さっきテントの中でトコトコ何歩も歩いてたじゃん」


「そういうことじゃないのだけれど!」


 確かに空気の読めない発言だったのは間違いない。


「でも、いつまでもこうしてるワケにもいかないだろ?」


「…………」


 踏ん切りがつかないのか、アメリアはまごついたまま動こうとしなかった。

 コレットも心配そうにしているし、向こうの一団も気を遣っているのか、それぞれの顔が見える距離にいながら、それ以上は近づいてこなかった。

 俺やコレットにもチラチラ視線を送って来ているが、彼らにとって見れば俺達の方が部外者だし仕方無い。特に先頭の男は、俺の事を不躾な程ジロジロ見てきた。


「アメリア、怖いのは生きている証拠だ。ほら」


 若干クサイことを言いつつ、俺はアメリアの背をポンっと押した。


「――ッ!」


 つんのめる様に一歩か二歩前に出て、此方の陣営と向こうの陣営の中間……やや俺達よりの位置でアメリアは一度だけ振り返った。

 泣きそうな顔とも、困っている顔とも、また笑いそうな顔とも言えない。感情が感情を支配する事を放棄した、ある時の人間の顔だ。

 俺(恐らくコレットも)が軽く頷くと、アメリアは今度こそ前を向きゆっくりと草を踏んだ。


 その一歩が次の一歩を導くまで、もう時間は要らなかった。


 ・


 アメリアが壮年紳士の胸に飛び込んだのを見届け、俺はコレットにハンカチを渡しながら声を掛けた。


「コレット。ちょっと一緒に来てくれ」


「? ――あ……」


 首をもう90度ほど巡らせると、ソコには別の一団があった。

 一つはおっぱいをこれでもかとアピールする艶やかな女性達。もう一つは、燃える様な赤い髪をポニーテールに纏めた少女に薄情な双子。

 おいこらバカ双子コラ。俺を無視して隣の三日月の女神達に話しかけてんじゃねぇぞ。おつまみ代請求すっぞボケ。

 ともかく、彼女らも空気を読んでくれていたのだろう、俺達の話が終わるまで待っていてくれたらしい。


 アメリアの決着は無事に着きそうだし、俺も俺の決着を付けないとな。

 俺はハナとコレットを連れたって、彼女達の方へ歩き始めた。


 ・


 一歩踏み出した足は、三歩目に駆け足に変わっていた。


「お父様――ッ!」


「おっと」


 アメリアはベルバリオに駆け寄り身体ごとぶつけた。かなりの勢いでぶつかったのに、父の身体はびくともしない。

 重厚な存在感は、そのままアメリアの心に揺るぎ無い安心感を運んできた。


「お父様っ、わたし……わたし…………っ!」


 何も言うなと言わんばかりに、ベルバリオはアメリアの頭を強く抱き寄せた。彼が小さく震えているのが、アメリアにも分かった。


「……あれから一週間、お前がどんな事をしてきたか私は詳しく知らない。けれど、これだけは分かる」


 大きく逞しい手が、純金色の髪をクシャリと撫でる。彼は手の平で何度も彼女の労苦を慈しみ、世に二つとない宝を慈しんだ。


「よく戦ったな、アメリア。お前は、私の自慢の娘だ」


 逞しい胸板から聞こえる心臓の音をの鼓膜が受け取ったとき、アメリアは声を上げて泣き出してしまった。

 恥も外聞も無く、幼い子供のように泣き続けた。ベルバリオもまた娘を強く抱き、その頭を撫で続けていた。

 誰も、二人に自身のハンカチを差し出すような真似はしなかった。理由は二つ。どの従業員も同じだろう。


「夢ではないのですね、おとうさまぁ……」


「もちろん現実さ――とは言うが、当の私もまだ夢のように感じていてね」


 スンスン鼻を鳴らすアメリアの目尻を優しく拭い、ベルバリオは面映そうにはにかんだ。自分の功績で無いのに、間違って表彰された少年のような困惑が父の瞳にあった。


「お父様! では、これは一体どういう事なのですか!? 私は確かに貴方様の……もしかして、私の勘違いだったのですか!?」


 瞼に張り付いた忌まわしき記憶の中、ベルバリオは間違いなく命を落としていた。希望的観測を最大に用いても、手遅れな重傷を負っていたはず。

 専門では無いが、アメリアもポーションに携わる者として生死や怪我に対する知識は充分にある。


「いや……短い時間ではあったが、私は一度死んだのだろう。俄かには信じられないが、これに救われたんだ」


 ベルバリオは頭を振り、懐から小さな箱を取り出す。それは様々な商会で広く使われている携帯用の冷蔵収納箱だった。父のは特に高級品だ。

 いぶかしむアメリアの目の前で、彼は厳重に封印された箱を開封する。外側に反して、中身は酷く粗末な陶器の破片だった。


「あぁっ……!」


 しかし表面に書かれている『この形』には見覚えがある。

 自分が飲んだ『竹』や従業員が飲んでしまったという『梅』に似通っている文体、もしくはイラストは、何年という月日を費やしてでも探し出すと心に誓った物。運命の相手を探す、唯一の手掛かりだ。


 それに似た物をいきなり見せられて、アメリアはむしろ呆然としてしまった。


 ベルバリオが説明するには、あの時、焼けて崩れ落ちた天井だか柱だかが落下してきて、彼の身体を強打したという。

 まさにその時、胸元に入れていた『松』のポーションが破損し中身がベルバリオにかかってしまった。

 そして、一瞬にしてベルバリオの肉体は完全な状態へと回帰……いやそれどころか、刺される直前よりも遥かに頑健な五体を感じたという。


「――そして私は、訳の分からないまま焼け落ちる屋敷から脱出したのだ。命を落とした従業員達を残してきたのは痛恨の極みだったが――」


 到底、信じられるものではなかった。経口摂取でもなく、患部に掛けたわけでもなく、少量が服の上から滲んだ程度でベルバリオを癒したというのか。


「お、お父様!」


 アメリアの言いたい事をベリバリオも、控えていたジェシナも疾く察していた。

 ベルバリオが一つ頷きジェシナに目配せすると、長身の麗人はアメリアに『銀賢者のマドラー』を恭しく渡した。


「破損という形で開封され、しかも時間の経っている物を保存しておくのは衛生的に問題なのだが、物が物だ。棄てられる筈もなくてね」


 アメリアはマドラーを使い、破片に残っていたポーションを一滴だけ掬う。溢さない様にそっと、白い液体を舌に乗せた。


「――――ッ!!」


 アメリアの全身を衝撃の雷霆が走った。

 忘れもしない、彼女を救ったあのポーションの味だ。アメリアの肉体を救ったポーションが、今度は父をも救ってしまったのだ。

 間違いない。紛れもなく同じ薬師の、または同一系統の技術から造られたポーションだ。


(……いえ待って、そんなの有り得ない)


 このポーションは新技法で作成された『最上級治癒薬』か『最上級解毒薬』かその混合薬ハイブリットだったはずだ。

 魔王の呪毒を解除しただけでも信じ難いのに、重傷により命を落とした筈のベルバリオを完全な状態で現世へと連れ戻す。

 いかにグレート・ポーションと云えど、限度というものがある。

 愚者の戯言ならともかく、アメリアの有するポーションの知識は王国でも指折りだ。高い知識に裏打ちされたが故に、彼女が受けた衝撃は人並みでなかった。


 だとしたら、このポーションはいったい……?


「まさか、まさか――!?」


 アメリアは自分がとんでもない勘違いをしていた事を悟った。

 自分とベルバリオが服用したのは『最上級治癒薬』でも『最上級解毒薬』でも、その他グレート・ポーション類でもなかったのだ。

 現存するどんな『最上級治癒薬』でも不可能ならば、このポーションはそれ以上の存在ということになる。


 そんなもの、この世にただ一つしか無い。


 あらゆる傷を癒し、毒を消し、病を殺し、死後間もないならば命の蘇生すら果たすという究極の万能薬。


超級治癒薬エクシードポーション』別名、霊薬エリクサー。


 全てのポーションの頂点に立つ神話の産物……否、神話


「お父様! これ、これをっ、いったい何処でお求めにっ、なったのですか!? これこそ、わ、わた、を救って、下さったポーションに間違いありませんっ! 後生ですから、どうかお教え下さい!」


 アメリアはベルバリオに縋りつき、興奮によって回らぬ舌で必死に懇願する。だが、どうしたことか。彼は当惑気味に苦笑いを浮かべているばかりだ。


「困ったな……それはむしろ、私がお前に訊きたかった事だったのに……」


 数瞬ポカンとしたアメリアは、無言のまま表情で言葉の真意を訊ねた。ベルバリオは微笑を浮かべながら、何事も無いように言った。


「何故ってアメリア、君はずっとと――」

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