第8話 ツンデレ×チョロイン

「……ここは?」


 俺が目を覚ますと何やら部屋のようだ。


「あ、先輩。起きましたか?」


「ああ、えっと……」


「ここは保健室ですよ。あと、私は酒井玲奈さかいれなです。名前……言い忘れてましたね、菊井先輩」


 そうか。この子、酒井玲奈っていうのか。なるほどね。やっぱりあの人に似ているなぁ。


「えっと、玲奈ちゃん。俺が持ってたピンクの……」


「あ、それなら茶髪の美人さんに返しておきました。また、ここに来るって言ってましたけど」


「そっか~残念だ。でも、また来るんだったらまた拝ませてもらおう!」


「先輩ってホント、筋金入りの変態ですよね」


「いや、褒めても何も出ないよ?」


「褒めてません!この変態!」


 ……ダメだ。この子の怒った時の顔、可愛すぎる!こんな後輩を持てるなんて、俺の人生まだまだ捨てたもんじゃないな!


「失礼します」


 俺と玲奈ちゃんが話をしていると、保健室の入口で声がした。しかし、俺はこの声を覚えている。


「玲奈ちゃん、あの変態は……」


「あ、ピンクの……」


「黙りなさい」


 ひえ、何かこの人怖いな。もしかして俺がパンツ取ったの怒ってるのかな?


「あと、アタシは水上未帆みずかみみほ。今日、こっちに転校してきたばっかで、アンタと同じクラスになるんだけど」


「おおー!それじゃあ、毎日パンツ拝ませてください!」


「何なのよ、アンタ……キモ過ぎ……」


 未帆ちゃんは頬を赤く染めている。何だろう、照れてるのか?


 ……ハッ!まさか、俺に惚れちゃったとか!?


「ねえねえ、未帆ちゃん。もしかして俺に惚れちゃったとか!?」


「あ、アンタに惚れるわけないでしょ!アタシはそんなにチョロくない!……ていうか、何でもう下の名前で呼んでるのよ!」


「良いじゃないか。俺と君の仲だしさ。だから……ね?」


「イヤよ、アンタみたいな変態に下の名前で呼ばれたくない!」


 ……ヒドイなぁ。パンツ見るのなんて挨拶代わりみたいなもんなのに。


「あの、先輩方!一度、落ち着きましょう!」


「そうだな」


「そうね」


 俺と未帆ちゃんの声がハモる。その直後、未帆ちゃんは俺をキッと睨みつけてきた。


「あの、声被せないでもらえるかしら?不愉快だわ」


「え~良いじゃん、それくらい。それに僕は君を愛してるんだ!」


「アンタが愛してるのは女の子のパンツでしょうが!」


「へぶぅ!?」


 俺は未帆ちゃんの回し蹴りを喰らって再び意識を失った。

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