第63話 初戦
そして、20時。建物までは、いつものように瞬のテレポートで行くことに。建物は、大きい倉庫のような、立方体で扉は1つだけ。壁はコンクリートでできているようだ。
「では、テレパシーを繋ぎます」
俺と拓哉さんの間に、1本の糸が繋げられる。試しにテレパシーを送ると、普通に返事が返ってきた。流石だな。このくらいじゃ、驚かないか。
「もし、何かあったら指示を出すから、その通りに動いてくれ。あと、外で誰かが襲ってきたら、殺さない程度にくたばらせておいてくれ。頼んだよ、拓哉」
「分かりました。お気をつけて」
京さんと拓哉さんの間には、俺らとは違った、信頼関係があるんだな。京さんを先頭に、焔、影、俺、一静、彩予、瞬の順に建物に入った。
建物の中は、部屋が沢山あるわけでもなく、中央に大きな部屋があり、それを廊下で囲んだようだった。ドーナツ状とでも言えばいいだろうか。瞬が扉を閉めると、扉が消えて1秒だけ、外の景色が見えた。そしてすぐに、そこは壁に。犯人の能力は、アポートで間違いないだろう。
「昨日の被害者は、30代女性ですね。彼女は、此処を左に回った先にある部屋に、連れていかれましたよ」
一静が言うと、彩予も言った。
「待って、20秒後に右側から、誰か来る」
「じゃ、奏くんと一静くんは壁側に、2人のことは彩予くんと瞬が守って」
京さんがそう言っている間に、右側から足音が聞こえてきた。壁に背中をつけていると、2人の男性が現れた。1人は金属バット、もう1人はスタンガンを持っている。
「
影がそう言うと、男性2人の動きが止まる。しかし、両腕は動かせる状態だ。金属バットが焔に向けられた時、バットに青い炎が上がる。すると、熱が手に伝わったのか、男性がバットを落とした。黒い手が男性に向けられ、「
一方、もう1人の男性は、京さんのお腹にスタンガンを当て、電気を流していた。しかし、エレクトロキネシストに通用するはずもない。スタンガンの電気が男性に流れて、男性は意識を失った。
「こんなもんっすかね」
「一応、手加減はしたからな? 」
影と京さんが言った。抵抗できなかったってことは、この2人は無能力者か。
「それじゃ、意識のある、君に話を聞こうかな」
「……俺らは、何も……」
怯えた様子で、潰されている男性が言った。京さんは笑顔で言う。
「俺らは、情報がほしいんだ。この事件で、知っていることがあるなら言え」
「話せるわけないだろ……話したら……」
「あっ、そう。じゃあ……」
そう言い、手のひらに電気を起こしてみせる。あぁ、やっぱり兄弟は兄弟だな。
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