一発ネタ収容庫

僕とチケゾー

僕が奴の前に行くと、いつも奴は下を向いている。

僕は奴を遠目から見る。奴は僕など気にしない。

奴は草ばかり食べている。一心不乱に食べている。

まるで生きていても何もすることのない僕のようだ。

ニンジンをやろう。

管理者からあまりやるなと言われているニンジンをやろう。

ニンジンを柵の上に置く。

奴は草を食べている。

ニンジンには気づかない。

少し時間がたつ。

奴はニンジンに気がついた。

ニンジンに駆け寄ってくる。

奴はニンジンを食うのが仕事だと理解しているのか、

僕からニンジンをもらおうとする。

ニンジンをやる。

奴は僕のつかんでいるニンジンを端から食べる。

奴はニンジンをかみ砕く。

もう一本やる。

また奴はニンジンをかみ砕く。

あまりやるなと書いてあったので、2本でやめる。

奴は、人からニンジンを食うのが仕事だと思っているのか、無理にニンジンを要求しない。

ニンジンをやらないとわかると、奴は草を食い始める。

一心不乱に食い始める。

草を食うのが仕事だと言わんばかりに食い始める。

僕はそれを見続ける。




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