第93話
演習の発表が終わった、次の担当は後期に行われる予定だ。
神宮寺は自分で言っていたように……相当、女性が苦手みたいだ。発表の際に教壇に立ったら、こちらを見る女性の視線を感じるだけで脚が震えていた。だから発表は俺が大部分を担当した。
「……すまない、助かった本当に……」
「……それは構わないが何処かで直さないと他で苦労しそうだな……」
「……あぁ……」
とりあえず一山越えたお祝いという事で俺の下宿にて酒盛りをした。また神宮寺が何処からか調達してきたのだ。
「乾杯」
久しぶりに酒を飲む、神宮寺はなかなかよい酒を持ってくる。
「……神宮寺、これは高かったんじゃないか?」
「いや、家にあったものだから値段は知らん」
……大丈夫なのか?でももう開けてしまったのでありがたく頂く。俺の方からは蛍が送ってくれた缶詰を提供して酒のつまみにした。
「……良くそれで今まで学生生活を送れたな」
神宮寺が女性を苦手なことを話題にすると
「……男子校だから」
……なんでも男子校のせいにすればよい問題じゃないぞ。
「……なぁ、セ、セック、スってどうだった?やっぱり気持ちいいのか?生身の女の裸はやっぱり柔らかいのか?」
神宮寺が興奮して尋ねてくるが……何て言ってよいかと考えたら……蛍の裸が思い浮かんで……
「……神宮寺、俺の口からは言えない、俺の思い浮かべる行為は彼女とのものだから……それは他の男に想像されたくない」
そうはっきり断ったら
「……思いの外、純愛なんだな……」と驚かれた。
「……もし、神宮寺に好きな女の子ができたら相談に乗るよ」
「あ、ありがとう……」
その日は二人で遅くまで飲んだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます