第49話
真っ赤な太陽、白い砂浜……蛍と約束通り海に遊びに来た。正直昨日の夜は楽しみであまり眠れなかった。
男の俺はさっさと着替えてそわそわしながら待っていると
「……お待たせしました」
後ろから蛍の声が聞こえたので振り向くと……白いパーカーに身を包んだ蛍がいた。
「……蛍、水着は?」
「……先輩、もう少しだけお見せする勇気が出てくるまでお時間をください……」
「……お、おう」
どうやらまだ恥ずかしいらしい。
以前あんなに大胆に迫ってきたときは俺の隠していた男性誌を初めて見ておかしな状態になっていたようで
「……お願いですから……記憶から消去してください……」
と懇願されたのだが、むしろ絶対忘れないように鍵をかけ保護している。
そんなパーカー姿でも普段は隠れているお尻と太ももが見えてこちらもドキドキしていたのだが。蛍も蛍で俺の水着姿をちらちら見て赤くなっている……
「……蛍、日焼け止め塗ってやろうか?」
「……だ、だいじょうぶです、一応塗ってきました」
まだ付き合い始めてキスしかしてない二人、少しは蛍と触れあいたいのだが……
「……蛍、それでも後ろとかは一人じゃきちんと塗れないだろ?首の後ろとかは塗ってやろうか?」
「……は、はい」
蛍に少しパーカーをずらして髪の毛を上げてもらい、後ろから蛍の細い首筋に触れる。
「ひゃん!……」
なんか蛍から可愛い声が聞こえた、少し敏感なのかもしれない。
「せ、先輩もう大丈夫ですから!」
「……そ、そうか……」
蛍と手を繋ぎ海辺を歩く、泳ごうかと誘ったら
「……先輩、すみません……私は泳げないんです……」
そういう訳で浅瀬で遊んだり、砂遊びをした。
「蛍は何味にする?」
「……私は苺味にします」
「……俺はバニラ味にするかな」
二人でアイスを買って
「……蛍、こっちも味見してみるか?」
「……は、はい。先輩もこちらをどうぞ」
間接キスに少し照れながら食べたりして楽しい時間は過ぎていった。
浜辺の端の岩陰で遊んでもうすぐ帰る準備をしなくちゃなという時間になった頃。
「……せ、先輩。お約束ですから……」
蛍はそれまで着ていたパーカーを脱いだ。
「……ど、どうですか?」
恥ずかしそうに見せてくれたのはエメラルドグリーンのワンピースの水着だった。蛍の白い肌に凄く映える色合いで……
「……蛍、可愛い。凄く可愛いよ」
「あ、ありがとうございます……」
蛍は胸元を手で隠しながら返事をする。蛍は胸のサイズを気にしているようだが俺の見た感じでは着痩せするタイプのようで……きちんと二つのふくらみが主張していた。
「……蛍、ありがとう。もういいから……パーカーを着てくれ……」
「……き、着ちゃってもいいんですか?」
「……可愛いくて他の野郎共に見られたくない……」
俺の独占欲丸出しの発言にも蛍は嬉しそうに「……はい」と答えてくれた。
「……また今度見せてくれるか?」
「……はい」
そう約束して着替えて帰る、疲れて俺の肩に寄りかかってくる蛍の感触を感じながら電車に揺られていた。
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