チートスキル "スキルドレイン"をもってすれば、陰キャでも世界を救えます!
もずくさん
第一章 ウィンドピア編
第一話 初めての異世界
何のために俺は世界を救おうとしているのかずっと考えていた。
そんな世界なんて俺が命を賭けて救う義理なんてないんじゃないか。
だが俺は得てしまった、数少ない友人を、世界を救えるだけの力を。
次が最後の攻撃になるだろう、これがダメなら俺はもう奴には勝てない。
「俺の想いを全て乗せる。 いくぞ、"
——物語の始まりは一年前に遡る。
この世界は不平等だ。
努力をすれば願いは叶うなどと言われているが、努力して得ただけの付け焼き刃の能力では生まれながらに才能を与えられている人間の足元にも及ばない。
俺はそのような才能は何も持ち合わせていない。
高校生2年生になった今、テストはいつも赤点、体育の授業ではいつも自分がいるチームが必ず負ける。
おまけに人付き合いが苦手で、友達と呼べる者はいない。
そんな俺だからクラスでの立ち位置は当然「陰キャ」である。
「
「はいはい、玲奈さんありがとさん」
「心が全くこもってない!!」
玲奈とは小・中・高共に同じ学校で、ずっと同じマンションに住んでいる。
赤みを帯びた髪の毛が特徴的で、ドギツイ性格さえ除けば、幼なじみからみても綺麗な顔立ちをしていると思う。
「勝手に着いてきてるだけだろ…… そんなことより俺みたいな陰キャと一緒に下校してるとクラスのやつに勘違いされるぞ」
「それは問題ないわ、みんな友達がいない可哀想な人に優しく接する玲奈さんって思ってるから!」
「いつかその裏の顔を学校で引き出してやるからな……」
「ふっふっふ! かかってきなさい!」
玲奈は悪代官の様な悪い顔をして笑っていたが、
突然表情は一変し神妙な面持ちになった。
「ねぇ、今日は何時頃に寝る予定?」
玲奈からの突然の質問に戸惑う。
「今期のアニメ見てからだから1時くらいかな」
「分かった、じゃあまた明日!」
そう言って玲奈は自分の家の方に歩いて行った。
と言っても隣の部屋なんだけれども。
いつも通り帰宅し、いつも通り食事をし、いつも通り風呂に入り、いつも通りベッドに入る。
ベッドの中でふと下校時の玲奈との会話が頭を過ぎる。
「何でいきなり寝る時間なんて聞いてきたんだ?」
俺は疑問に思いながらも、翌日に備えて眠りについた。
これが全ての始まりだったとも知らずに。
***********************
——目を覚ますと俺は身に覚えのない暗闇の中にいた。
真っ暗ということはまだ夜なのか?
いや、時間というよりもまずここはどこなんだ。
家のベッドで寝たにしては背中がゴツゴツしている。
周りに意識を向けていると、だんだんと視界がハッキリしてくる。
どうやら俺は薄暗い洞窟の中にいるらしい。
「この声が聞こえますか?」
突然洞窟の奥から優しい女性の声が響き渡る。
女神が実在するとしたらこんな声なんだろうなと下らない事を考えてしまう様な声だ。
「あ、はい…… ここはどこなんですか? いきなりの事に頭が混乱してまして……」
「ここはあなたの望みを叶える場所、そしてと世界の運命を変えるための場所です。このまま洞窟の先に進むか、引き返して来た道を戻るかはあなた次第です。」
「望みを叶える…… 世界を変える…… 何かリスクがあるんじゃないか…… そんなうまい話がある訳ない、そもそも僕の望みって何なんだ……」
「あーもう面倒くさい! そういうところ! もういいから何も考えず進んで!」
さっきまで優しかった女性の声が突然甲高い女の子の声に変わった。
と同時に洞窟に強い風が吹き、俺は洞窟の奥の暗闇に吸い込まれていった。
すると、意識に黒い布を被せられた様に、だんだんと意識が遠のいていく。
視界が真っ暗になると、突然視界の中心に文字が表示された。
"
そうこう考えているうちに強制的に意識にシャットダウンがかかる。
「——世界を救って」
意識が飛びかける直前に、洞窟の女性はそう言った様な気がした。
***********************
——意識が少しずつハッキリしてくる。
気づくと俺は見知らぬ草原に横たわっていた。
柔らかい草の感触、ふわりと吹く風、暖かい太陽の光が気持ちいい。
突然の出来事続きで、今自分の身に何が起きているのか分からなかった。
ふと周りを見渡してみても、自分が住んでいるマンションは見当たらない。
視界の中にあるものといえば、どこまでも続く草原とポツンと佇む一軒の民家くらいだ。
ここは一体どこなんだ。
状況に頭が混乱し、天国なのではないかとすら思う。
「こういう時はまず自分の位置を把握する事が大切だ。 落ち着け、俺」
両頬をパシリと叩き、後ろを振り返る。
何かが猛烈なスピードでこちらに向かってくる。
とても嫌な予感がする。
徐々に近づいてくる物体が見えてくる。
2本の大きな角が生えた恐竜の様なモンスターだ。
明らかに興奮し、俺に狙いを定めている。
「う、嘘だろぉぉ!?」
俺は前を向き、唯一身を隠せそうな民家の方に走り始めた。
民家は全体に薄汚れていて、人が住んでいるかも怪しい。
急いで入り口の前に立ち、ノックをしてみるも反応がない。
モンスターがどんどん迫ってくる。
「開けてください!! 誰かいますか!!」
すると2階からドタバタと忙しない音がした後、家の主が階段から降りてきた。
「わあ、1日に2人もお客様が来てくださるなんて! 何かご用でしょうか!」
「ごめん、それどころじゃない! 入れてくれ!」
「あ、はい!」
すぐに家の中に入り、木製の大きな棒で鍵をかけた。
ふぅと息をつく、死ぬかと思った。
「ありがとう、助かったよ」
「いえいえ、モンスターが森の方から迷い込んできたんですかね。 家にいれば安心です!」
民家にいたのは深緑色の髪をした小柄な女の子だった。
〜〜〜〜〜〜あとがき〜〜〜〜〜〜
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