WIND SHELL 雑文集（2018-2020）

2018 あらかじめ失われた恋人

ノルウェイの森とあらかじめ失われた恋人について

ノルウェイの森とロング・グッドバイとカサブランカの共通点が「あらかじめ失われた恋人」

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そして「失われた恋人を思う男」

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ノルウェイの森は直子が「あらかじめ失われた恋人」で、躍動感のある緑とのふれあいが描かれるが、主人公のなかで緑が直子を超えることがない

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ロング・グッドバイは「あらかじめ失われた恋人」のために罪を背負って自殺する男の話

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そして友人の汚名をそそごうとするフィリップ・マーロウの話

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カサブランカは戦争のために引き裂かれた元妻と今の夫を助ける男の話

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どれも過去に失われた恋人を思う男の話で、男が報われることはない

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が、「あらかじめ失われた恋人」を深く思う気持ちが共通である

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失われているがゆえに、永遠に憧れていられる象徴でもある

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ロング・グッドバイは村上春樹の愛読書なので、「あらかじめ失われた恋人」という小説の構造を借りたのでは。構造を借りることは悪いことではない

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失った恋人だから、どこかで思いが固着して深化する。いつまでも愛していられるのではないか

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村上春樹はロング・グッドバイの訳者あとがきを原稿用紙100枚書いた

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現実の恋人のように老けない、変化しない、飽きることもない

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最初は友人の汚名をそそごうとするフィリップ・マーロウとテリー・レノックスの友情に萌えを感じていたのだが、最近はテリー・レノックスの気持ちがわかるようになってきた