美術その一 「問う」

 王位を継いだ若き者、神に対して敬虔なる者、偉大なる太陽神アメンの如き王、神の子孫、太陽が勝利を与えし者、太陽の息子、ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――の治世第四年。

 この年、ペリトの息子ペリエンはアレキサンドロスの絵師であった。


 エジプト暦にして、ベレトの第三月第七日。

 ペリエンがツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――に問う。

「ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――よ。私はここに願います。御身がその御手により神々の御姿を導き出されんことを」

「如何なる神であるか。汝に問う」

「ツタンカーメン――永遠に生きよ、アメンに愛されし者――よ。


 偉大なるオシリスに従う力強き神にございます。

 神殿にある葬儀用の壷に隠れ、オシリスを弑せんとする敵らを目によって滅ぼす神でございます。


 その不可視の神に相応しき御姿は、如何なるものに相成りますでしょうか」


( 続く )

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る