新しい ツレヅレグサ

オレンジ5%

第1話 穴の底

深い穴の底のことは、ずっと前から知っている。

知っているがゆえに、またあの底に降りなければならないのかと、わたしは今おののいている。

前は、初めて降りた。

今度は、二回目か。

行く必要はない。それはわかっている。

回避は可能なのだ。それもわかっている。

ただ、ひとつわたしをおびやかす、小さなケーキの欠片があるのだ。

そんなの本当に小さなケーキの欠片だと、食べてしまえと言ってくれる、別の作用に身を委ねる。

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