37 聖女さん達、明日からの方針を決める 下
「預かるって……」
「ちょっと危険じゃないですか?」
良くも悪くもこの中でレリアさんへの警戒が一番強いシルヴィが、私の考えを代弁してくれる。
「なんかシエルさんの体との相性が良いみたいですし、乗っ取られるかもしれませんよ?」
「あ゛?」
シルヴィの言葉にドスの効いた声を上げたのは、レリアさんに視線を向けたマルコさんだ。
「偉人の幽霊だかなんだか知らねえが、妙な真似してみろ。そん時は全力でお前を潰す」
その発言に場の空気が凍る。
なんというかこう……雰囲気が本職の人! いや本職の人なんだけど……。
なんというか今までも怖い系の感じではあったけど、レベルが違うというか……どうした急に!?
「ちょ、マコっちゃん! 色々協力してくれる人にそういう態度は駄目だって!」
「うっせえ、てめーはもうちょっと色々な事に警戒心向けろ馬鹿。つーか何度も言うがその呼び方止めろ! 初顔合わせの奴らも居るのにこれ以上定着したらどうしてくれんだ!」
いや、でもこれもしかしてアレかな?
しーちゃんが滅茶苦茶馴れ馴れしく変な呼び名で読んでいて、本人はなんやかんやそれを受け入れているし、この明らかにしーちゃんの事を心配してくれている感じ。
このマルコっていう人……成程ねぇ。
お目が高いじゃん。
と、私が色々と納得している中でしーちゃんが言う。
「まあまあそれはともかくさ……どうかな、あっちゃん。確かにリスクは無いとは言い切れないけど、そもそも今は何が起きるか分からないんだからさ。相性の良い相手にレリアさんが乗り移れるっていう事実を肯定的に受け止めるのもありなんじゃないかなって思うんだ」
「……まあ一理あるけど」
確かにレリアさんがちゃんと味方として動いてくれるんなら、そういう状況で居てくれる事は凄く心強いんだけど、でもその場合でもレリアさんが出張らないといけないような危険な状況にしーちゃんの身を晒す事に……いや、そもそもレリアさんが何もしなくても晒す事になるのか。
誰かが遠ざけてもなんか居そう。
それどころか私達がいない間に、全然関係ない物騒な案件に巻き込まれたりする可能性も……。
……ああ、これアレだ。
レリアさんの動向を心配するよりも、ナチュラルなしーちゃんの方が心配だ。
「レリアさん」
「なんじゃ。ワシを信用してくれるのか?」
「何かあった時しーちゃんの事よろしくお願いします」
「ん? 今ワシが何か起こすかもって話をしていなかったか?」
きょとんとするレリアさんにマコっちゃん……じゃなかった、マルコさんが続ける。
「確かに……もし信用できるんなら、この馬鹿一人にしておくよりよっぽど安心だろ」
その言葉に頷くマフィアの皆さん。
……あーうん、なんというか、その……。
マフィアの皆さん、今まで私の親友がご迷惑をおかけしました。
……とまあ、これで一応確定だ。
レリアさんの協力の元、この前の地下から敵の情報を探る残留組。
私が居た国に向かって外務省の協力を仰いで、正攻法で情報を集める遠征組。
明日からはそういう感じに二手に分かれて動くことになった。
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