34 聖女さん達、クエスト再開

「それで、あなた達はこれからどうするの?」


 私達が何者かという話に一区切りついた所で、私はこれからの話を始める事にした。


「私達の為に態々こんな所にまで来てもらって悪いんだけど、私達はこのままリタイアして帰るつもりは無いし、この先に進むけど……それでも連れて帰ろうとするっていうなら、悪いけどちょっともめるかもしれない」


 帰る必要も無いし、そして帰る訳にはいかない。

 それだとステラが困るしね。

 そして戦士の男が答える。


「勘弁してくれ。キミ達と揉めたら10秒持たない」


 苦笑いを浮かべてそう言った後、一拍空けてから言う。


「俺達はこのまま帰るよ。帰って……見た事をしっかり報告しようと思う。俺達が保護して連れて帰る必要は無かったという話と……この場で起きていた異常事態の事をね」


 言いながらシルヴィが倒したレッドドラゴンに視線を向ける。


「この状況は普通じゃ無かった」


「そうだね……なら早いところギルドの方に此処の事伝えておいてよ。今この辺りに軽い気持ちで足踏み入れるのはヤバそうだからさ」


「任せておいてくれ」


 そう言った戦士の男は、改めて言う。


「此処の危険性の事も、キミ達三人が駆け出しの冒険者の域を遥かに越えている事も。正しい評価が下されるように話してみる。俺達は曲がりなりにもSランクだからさ。発言力だけはそれなりにあるんだ」


 そう言って笑みを浮かべるが……曲がりなりって。発言力だけってちょっと……。

 なんかこう、別に私達が悪い訳じゃ無いのは分かってるけど、その、えーっと、ごめんなさい。

 頼む……誰かこの人達に自信を取り戻させてあげて……!


「あ、ありがとう」


「あ、ありがとうこざいます」


「た、助かるよ」


 私達からはそんな事しか言えないから。





 それから互いのパーティーで軽く自己紹介を交わした後、正統派ハーレムパーティ-の皆さんは、でかい鳥に乗って帰っていった。


 どうやら戦士の男の名前はライドさん。

 狩人の女性はリンさん。

 魔術師の女性はメイリィさん。

 そして改めて僧侶の女性はエレーナさんと言うらしい。


 考えてみれば現状唯一の顔見知りの冒険者パーティーの人達なので、覚えておこうと思う。

 先輩だから冒険者としての知識は私達以上だろうし、困ったら色々と聞けるかもしれない。

 まあ仲良くしていこうと思うよ。


 まあそれはそれとして。


「とりあえずうまく報告してくれるなら良かったよ」


「ですね。これで一気に冒険者としてのランクが上がってくれれば正攻法で色々な依頼を受けられますし」


「今後とも高額報酬の依頼受けたかったからな……その辺は助かるよ」


 そしてもう一つ大事な事。


「後はこれで私達が大丈夫って事が伝わったら……シズクが大変な事になるってのは避けられるかな?」


「避けられてるといいな……」


「で、ですね……」


 最終的に一番気掛かりなのはそこである。

 まあ今の私達は祈る事しかできない訳で。

 後ろの事ばかり考えずに目の前の事を終わらせていかないといけない。


「よ、よし! 気持ち切り替えよう! 登山始めるよ登山!」


「そ、そうだな。早いところ仕事終わらせよう」


「が、頑張りましょう」


 さて、色々あったけど此処からが今日の本題。

 

 ドラゴンの住む山に登って薬草採取の始まりだ!

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