第10話 ヘビの幻覚
今回は母の事というより、私の事で思い出した事があったので書きます。
小学校低学年の頃、私は下校途中に幻覚に襲われていた事が何十回もありました。
今だからこそ、思い返してあれば幻覚だったんだなと思う事が出来ますが、当時は幻覚だなんて知らないのでただ、ただ怖い思いをしていました。
どんな幻覚かというと、ランドセルの上に蛇が乗っていてランドセルに絡まりながら私の首にちょっかいを出してくるという幻覚です。
幻覚の種類はこれ一つ。私が蛇を目視したことは無いのですが感覚はあったので『幻覚』という書き方をしています。
これは友達と一緒に下校するときにはほとんど起こりません。
でもゼロでは無かったです。
大抵は一人の時に起こりました。
蛇は長くて太いタイプです。
ランドセルの上に乗っているだけではなく、ランドセルの後ろにも体を垂らしているイメージだったので、ランドセルをコンクリート壁にこすりつけて蛇を撃退しようと何度も試みていました。
なので私のランドセルは小学校低学年にしてもう、傷がつきまくりでした。
「これ絶対、蛇いるよ。これだけ私の首にちょっかい出してくるんだから他の人にも見えるはず」
そう思った私は帰る途中に通りかかった家の庭先に出ている大人に助けを求めた事もありました。
けれど蛇は誰か他の人が現れると引っ込むのです。
背負っていたランドセルをおろして確認してみても、蛇はいません。
けれど背負うと現れ、何となく舌を出すような音も聞こえてくるのです。
私はもちろん、蛇は大嫌いです。
多分、実物を見たら悲鳴をあげると思います。
なのにこのランドセルに絡みついている蛇については、そんなに近くにいるのに
「嫌だな」
「怖いな」
とは思うものの、実物を見た時のような反応とは少し違うのです。
もちろん(?)この事を母に話した事はありません。パパにも。
よその大人には助けを求めるのに、家に帰ってきたら忘れてしまったかのように何も言いませんでした。
蛇は大きくなったら、いつの間にかいなくなりました。
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