第8話 社交しない母
パパの実家に一緒に行かなかった母ですが、パパの会社の人の家族との交流もしない人でした。
パパの会社では年に1~2回、近場に旅行やキャンプがあり、それに私は連れて行ってもらっていました。
他の家は家族全員で参加しているのに、うちはいつもパパと私の二人。
今思うと、私だから出来たことだよね。
だって、幼児が母親無しでお泊りしたら夜は泣くとかぐずるよね?
いくらパパがいたって、「ママー」となるのが一般的じゃない?
けれど私は全く泣かなかったし、「ママ?別に必要無いし」という子どもだったのだ。
パパさえいれば十分だった。
周りの人たちが気を遣うくらいに私は母親不在で平気に過ごしていた。
幼児だからね、身の回りの事だって自分一人でするには限界がある。
でも確か私はかなり自分で出来てた気がする。
母は自分が仲が良いわけではない人との交流を極度に面倒くさがり、それをしない選択肢をとれてしまえたのは昭和の主婦としては凄いと思う。
昭和だよ?夫の会社の人との交流となれば、妻として何等かのフォローをしたり
「いつも主人が」
と接待する、そういう時代だったよ。
行かなければ、何等かの噂をたてられたり、人との交流の中でパパにも気を遣わせる事になる。
その時代にありながら
「はぁ?会社の慰安旅行?行ってくれば?私は面倒だから行かない」
で済ませる母。それも幼児である私の事は参加させる。
思い出してみると、母は破天荒だったんだなと改めて感じた。
でもさぁ、今思い返してみると、もしかして私たちが不在の間に他の男性のところに行ってたんじゃないかと思えてきた。
「行かない」
と言った本当の理由はそれだったのかもと今さらながらに気が付いてしまったのだった。
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