第16話唯の過去②

彼女はもじもじしていた口を開きだした。


「私たちが初めて話したあの日のこと覚えてる?私は今でも覚えてる。

私が宿題を持ってくるのを忘れて困っていたらふみちゃんが名前書き換えて渡してくれたよね。」


少し笑う彼女。


「そこからどんどん好きになっていった。ふみちゃんと話したいがために学校に行くようになった。中学二年になってギルティ。っていうバンドが好きって


いうのを聞いたからライブ会場にまで足を運んだんだ。あくまで偶然を装ってね…笑」



ぽりぽりと鼻の上をかいている彼女。


俺たちは頷きながら聞いている。


「そこから仲良くなれてほんとにうれしかったの。でも告白したくても中々勇気が出なくてさ…。だからふみちゃんが告白してきてくれたの心の底からうれしかったの!!!」


凪の視線がつらいです…。今カノに聞かせてる俺どうなの…。


「いや、ちょっと待ってくれ。ならなんでそこからお金を要求してきたんだ?」


俺はいままでずっと抱えてきた闇を少しずつ放出する。


「そ、それは…。


彼女は息が詰まる。ほら、うそなんじゃないか。


ざ、雑誌で読んで…。それで男は貢がせたほうがもっと自分のことを好きになるって…。」


は?雑誌?そんなばかな…。


いや、まて。唯はなんでも信じる癖があった。

もしかしたら本当かもしれない。


「黙って聞いてれば!!!そんなのウソに決まってるじゃない!!!

私の、私だけのふみくんを弄びやがって…!!!」


凪がキれた。こ、こえ…


「仕方ないじゃん!!!ほんとなんだもん!!!」


俺は彼女がウソをついてるようには思えなかった。


「わかった。信じるよ。じゃあそこからのいじめは?」


そう、俺のトラウマだ。それはどう説明すんだ?


「昔からよくいじってたからその延長線上で…。ほんとにふみちゃんにまた振り向いてほしかったの!!!!!!!!」


涙がこぼれて唯の化粧が薄れていく。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る