18.シンデレラ風味のストーリー

続きものなので4本分一気に行きます。軽いノリで突っこみなど入れながらお読みください。



scene1 カボチャの馬車

「レタスを収穫してくる」と言って母はスーパーへ出かけた。

 戻ってきた母が抱えていたのはカボチャだった。レタスはどうしたのか聞くと「トレードしてきた」という。

「これが馬車になってあんたを王子様のとこへ連れてってくれるんだ。いい取引だったよ」

 謎が謎を呼ぶ母の言動に私の腹がぐうと鳴る。



scene2 舞踏会

 カボチャの馬車が行きついた先は婚活パーティーの会場。着飾った男女たちが狩人の目で互いを見ている。

 部屋着で来てしまった私は目立って浮いたが、そんなことよりも腹が減っていたのでテーブルのチキンを頬張る。

「いい食べっぷりですね」

 隣に立っていたお兄さんが私を見てにこっと笑う。



scene3 12時の鐘

 急に恥ずかしくなった私は「門限なので!!」と適当に嘘をついてカボチャの馬車で逃げ帰る。途中階段でつっかけを片方落としたが安物なので気にしない。

 家では母が平然とカボチャの煮つけを作っている。

「パーティーは楽しかった?」

 母の問いかけに答えるより先に私の腹がぐうと鳴る。



scene4 ガラスのくつ

 翌日宅配便が届いたので玄関を開けようとして、つっかけが片方ないことを思い出す。待たせても悪いので片足立ちで戸を開ける。お兄さんが私の姿を見てくすりと笑う。

「すみません。昨晩そっくりの人を見かけたもので」

 バランスを崩した私を支えてくれたお兄さんと始まる恋のファンタジーと、ドヤ顔の母。

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