シティホテルに泊まった(趣味)

 商品券を頂いたのだ。何に使おうか迷っているうちに忘れることが多いのだが、利用可能店を眺めて目が止まる。行ってみたかった都内ホテルの名がいくつか。これに使ってみよう、と思ってインターネットで予約をした。商品券で賄えない部分は差額を支払えばいい。土日混雑を避けるために平日に利用することにした。こういうことのために、わざわざ有給を使う。


 エントランスに足を踏み入れると、お花の香りがした。一概に言うと上品な香りだった。カウンターでキーを預かり部屋へ案内される。天気も良く、いい眺めだった。私はDVDプレイヤーを借りた。家からお気に入りを3枚持ってきたのだ。それを日が暮れるまでひたすら再生して、広い部屋で踊り狂った。これがしたかったのである。


ひとしきり楽しんだ頃、ふと考えがよぎった。


DVD 自宅で観れるじゃん。


 むしろ自宅でならBlu-rayで再生できる。私はわざわざシティホテルに来てまで何をしているのだろうか。金をかけて、家でできることを場所を変えてやっただけである。良く言えば贅沢極まりない。


 少しの贅沢を求めてリゾートホテルやシティホテルを利用する人は、どんな過ごし方をするんだろう。と思いつつ、お腹が減ってきたのでホテルを出て併設されているカフェに向かった。これは生活圏内に無く、しかも好きなお店なので良しとする。そして部屋に戻り、足を伸ばしてもまだ余裕がある浴槽に身体をめいっぱい沈めて休んだ。幸せだった。


 朝はルームサービスを依頼した。やっとホテルらしい妥当な行動をしていると言える。

 私の為に腕を振るったであろうシェフ。私のためにサービスしてくれるスタッフ。朝食を味わいつつ窓の外から街を見下ろす朝。これが一番の贅沢ポイントだったかもしれない。

 ああやって高層からいろいろな景色を眺めてみると「東京、なんかいいなーあ」なんて思っちゃったりして。


とてもおいしいコーヒーを飲み干して、いい気分でチェックアウト。

また来たいな、と思える素敵なホテルだった。私はその足で、シルク・ドゥ・ソレイユのテントへ向かったのであった。



 

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