箱庭の短編集

黒崎ぁずま

電話


机の隅に追いやっていた携帯が音を鳴らした。


初めは無視しようとも思ったのだが、あまりにも鳴り続けるので、文句を言ってやろう、そう思っていた。


携帯に映し出されている大きな文字を見ると、大好きなあいつだった。


「ああ、もう、なんだよ」



俺を好き勝手に弄びやがって。むかつく。


『ああ、もしもし?電話したかったからしちゃったんだけど…迷惑だった?』


ああ、なんだ、またいつもの彼女の愚痴か。



ほんと、こんな時間に、こんな俺に


お前の彼女の愚痴を言うのはやめてくれよ。



『うん…ありがとう。それじゃあ、また』


プツリ、と電話がきれた



ほんと、こいつは馬鹿だ。俺に言うなっての。


でも、その「また」にすがり付いている俺は大バカだ。




えんど

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