02 二人で一人

 あるところに、たいへんそっくりで、たいへん仲のいい双子の姉妹がいました。

 本当に、何から何までそっくりだったので、ふざけて入れ替わっても、両親でさえわかりません。

 しかし、そんな双子でも、片方は得意で片方は苦手なこともありました。

  そういうとき、双子はこっそり入れ替わり、苦手なことは何もないふうを装っていたのです。

 そんなある日、双子の妹が言いました。


「私、もう一人で大丈夫。ぜんぶ自分でやれるわ」


 姉はあわてて首を横に振ります。


「私は駄目。一人じゃ無理よ」

「そう」


 妹は冷ややかに答えました。


「それなら、あんたはいらないわ。私は一人で生きたいの!」


 そして、妹はナイフを――


 たいへん仲のいい双子でした。

 両親が二人を見つけたとき、どちらも胸を押さえて死んでいましたが、一方の胸にはナイフが、もう一方の胸には傷跡だけがありました。

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