第61話 委員会を立ちあげる美女
まさか、銀堂コハクが授業中に寝るとは……珍しい事もある物だな。疲れていたのか?
理由は良く分からないが女子には色々あるのかもしれないな。現在は昼休みでどのように過ごすか考えていると前の席の佐々本が眼鏡を掛けたとある男子生徒を連れてきた。コイツ、確か……
「なぁ、十六夜」
「どうした?」
「
「十六夜殿、拙者の頼みを聞いて欲しいでござる」
こんな感じに個性的な話し方をするのだ。もちろん嫌いではないが
「拙者はネット仲間と協力してゲームを作ってるでござる。そこにギャルゲーとホラゲーがあるのでござるがそれを十六夜殿にプレイしてもらい感想を聞きたいのでござる」
こいつはゲーム作りが好きでネットで仲間を集めて作り、それを販売してたりする。将来の夢は売れるゲームクリエイターだっけ?
「なぜ俺に?」
「十六夜殿のようなリアルハーレム男の意見を取り入れれば益々ゲームのクオリティが上がると思ったでござる」
「別にハーレムでは……ホラゲーは何故?」
「十六夜殿は怖いものが苦手と言っていたでござるから、良い意見が聞けると思ったでござる」
「そうか……ギャルゲーは良いが……ホラーゲームはちょっとな。ギャルゲーは良いが」
「ありがとうでござる」
そんなに頭を深々と下げないで欲しいんだが……ホラゲーはなぁ……
「取りあえず、頭を上げてくれ。プレイしてみるから」
「おお、ありがとうでござる。ギャルゲーはかなりお色気シーンなどが多いでござるから満足すること間違いなしでござるよ」
「そうなのか」
「取りあえずまだ完成まで時間はかかるでござる。その時になったらまたお知らせをするでござる」
「ああ」
「取りあえずお礼を申し上げるでござる」
秋斗は深々と頭を下げる。かなり力を入れているのだろう。少しでも良くしたいという姿勢が感じられた。
「それじゃ、食堂に行くか。秋斗もどうだ?」
「そうだな。折角だし」
「なら、ご一緒するでござる」
「おう、それよりお前ってさコハクちゃんとかには敬語なのに男子にはタメ語だよな」
「ああ、女子と話すときはつい緊張してしまうんだ。それで敬語になる」
「あるあるだな」
「分かるでござる」
俺達は食堂に向かう。
ホラゲーは一人じゃやりたくないな……
◆◆◆
「それで話とは何ですか?」
「うんうん、そろそろ話してよ」
僕とコハクちゃん、火蓮ちゃんが食堂でそれぞれ食べるものを頼み席に着く。そこで今回僕たち二人を呼び出した火蓮ちゃんに本題を聞く。
いきなり彼女が食事でもしながら話をしたいといったのだ。コハクちゃんも呼んで。この三人で食堂で食べるのは初めてじゃないだろうか?
「私思ったの。今現在私には女子力が足りないって」
「は、はぁ? そ、そうですか」
「だから、私は女子力を高めたい。二人にも協力してほしい」
「僕は良いけど、コハクちゃんは?」
「……敵に塩を送るような真似は本当ならしたくないですが、私にも貴重な経験値になりそうですし。自分自身も見直せるかもしれませんから……協力します」
「それで具体的に何をする気なの?」
「……決めてない……」
火蓮ちゃんはやると決めただけで何をするかまでは決めていないようだ。朝に変わると宣言したその日の休み時間に行動するとは……速いな……
誰かさんみたい……
「うーん、料理とかファッションとか男が喜ぶ仕草とか、話し方とかを学ぶって感じが良いんじゃない?」
「それよ、萌黄。ナイス」
「えへへ、それほどでも。それで先ずはどうする?」
「私は少しの時間も無駄にしたくない。今この食堂で出来る事をまずやりたい」
「そんなものありますか?」
「うーん、それじゃあ、僕が出すお題に答えるって言うのは? 女の子らしい可愛い答えでも良いし、場合によってはユーモアのセンスも鍛えられる。それにいろんな話題に触れれば会話のレパートリーも増えて一石二鳥どころか三鳥だよ」
「いいわね。早速やってみましょう」
「私もぜひお願いします」
「うん。それじゃあね……」
「ここで軽く勝負しませんか? どちらが素晴らしい回答を出来るか」
「いいわよ。してあげようじゃない」
この感じ、何か女子会っぽくて好きかも……。これから定期的にこれを開いて二人とイチャイチャ……いいね!
「問、貴方には最近彼氏ができました。その彼氏と円満に末永く幸せにするには何が必要だと思いますか?」
「うーん、そうですね……」
「いざ考えると難しいわね……」
二人は腕を組み考える。コハクちゃんは腕を組まないほうがいいんじゃないかな? 強調されすぎ……胸が
「はい! 整いました!」
コハクちゃんが元気よく手を上げる。何か途轍もない事を思いついたように……
と言うか整いましたって……大喜利じゃないんだから。楽しそうだから僕もやるけど……
「貴方には最近彼氏ができました。その彼氏と円満に末永く幸せにするには何が必要だと思いますか?」
「愛と既成事実」
「重い! 重いよ! 確かに全く見当外れではないけどそれは言ったらダメだよ。愛は全然可愛いし、コハクちゃんも可愛いからオッケー。総合評価は95点」
「既成事実は言わない方が良いんですね……勉強になりました」
「私も整ったわ」
「はい、それじゃあ火蓮ちゃん。貴方には最近彼氏ができました。その彼氏と円満に末永く幸せにするにはどうすればいいと思いますか?」
「愛と互いを想い本心を言い合う事」
「百点!!」
「この答えが出たのも十六夜のおかげだけどね」
「くっ、五点負けてしまいました……やりますね。火蓮先輩」
「まぁね」
良い雰囲気の二人はいつまでも見ていたいけど、次のお題考えないと……
「さっきのお題を少し引き継ぐね。貴方の彼氏との生活を小説のタイトルにするならどんなタイトルにしますか?」
「はい!」
「コハクちゃん。どうぞ」
「私が彼と結ばれるまで」
「おおー可愛い。百点!」
「私も出来たわ」
「火蓮ちゃんどうぞ!」
「いきなり私に話しかけてきた後輩が実はとんでもなく良いやつで、私の家族問題も解決してくれて気付いたら家族公認の許嫁候補になっていた件」
「長くない!? タイトルで内容が全部分かっちゃう感じがするね。でもこれは……97点かな……」
「くっ、三点負けた……」
「シンプルが良い時もあるんですね」
「なるほど。勉強になったわ」
この集まり特別な感じがするから名前を付けたいな……えっと何が良いかな? 二人にも聞いてみよう
「この三人の集まり何か名前を付けたいなって僕思うんだけど。二人はどう思う?」
「良いと思いますよ。つけましょう名前」
「そうね……”女子力向上委員会”ってどう?」
「おおー、いいね!」
「私も良いと思います」
三人であらたに委員会を結成した次の瞬間。昼休みが終了まじかのチャイムが鳴り響く。食器が乗ったトレイをもって片付けの為席を立つ
「そろそろ期末近いわよね?」
「そうですね。勉強会をしたいですが無理に誘うのも迷惑かと……でも十六夜君には良い点数を取って欲しいです」
「そうね。明後日くらいから無理のない程度に誘う感じにしない?」
「そうですね……」
二人ってやっぱり気は凄い合うんだろうな……本質的に似てる感じがする……
それに同じ人を好きだから余計に共感できるところが……
良いなぁ……僕にもその気持ちが分かる日が来るのかな……
◆◆◆
俺は久しぶりに一人で下校している。最近は二人がグイグイ来たからお祭りの様な感じだったが急にお通やのようになると……ちょっと寂しい。
『魔族』が現れて『魔装少女』が戦うのは夏休みの後半。八月十六日。今は七月だから時間はあるんだよな……
そもそもこの作品それなりにシリアスな感じは勿論あるが、ほのぼのした感じも大分多い。『ifストーリー』が異常だっただけで本当なら女の子のほのぼの感が満載。
一人で歩いていると
「にゃにゃにゃにゃ! お前が”夢喰い”を倒した人間か!」
後ろを振り返ると尻尾が三本もある普通サイズの猫が居た……コイツは……『ストーリー』でも出てきた。滅多に出ないオカルト系でいたずら好きの妖怪。
人を猫にする力を持った妖怪で銀堂コハクが猫にされて困るというのが『ストーリー』でもあったがそれは『魔装少女』の力を得た後だからここで出てくることは無いんだが……
「あの封印された”夢喰い”を倒した人間が居ると聞いて見て見たが……何とも言えない感じがするにゃ……」
「そうですか……」
「夢喰いは妖怪の中でも危険な妖怪として有名だからにゃ。それが出てくる時期がそろそろだったから全員焦っていたのにゃ。感謝するにゃ」
「別にいいですけど」
なるほど。夢喰いを俺が倒したから気になって見に来たと……あんまりオカルト系は出てこないがこういった妖怪は普通の人間には興味を持たない。銀堂コハクが猫にされたのも『魔装少女』と言う特別な人間だったから。興味を持つって事は俺ってもう、普通じゃないのか……妖怪の世界だと……人間の世界だと普通だが
「お礼に猫にしてやるにゃ」
「遠慮します。おい! やめろよ!」
「遠慮するにゃ」
猫嵐から光があふれ出す。眩しくて目を閉じて開くと……いつもより視界が低い。
嘘だろ!!! 来ていた制服と荷物が下に落ちている。この猫化は猫嵐が満足するまで解けない。おいおい、どうすればいいんだよ
「おい、なおせ!! ふざけるな!! 俺悪くないけど謝るから!!」
「やったにゃ! 夢喰いを倒した奴を倒したにゃ!! 他の妖怪どもに自慢してくるにゃ!! それが終わったら戻してやるにゃ」
猫嵐は何処かへ行ってしまった。荷物は散乱。俺は猫状態……どうすればいいんだよ。家には入れない。こんな姿じゃ言葉も話せない。
どうしよう……どうしよう……
俺が迷っていると。向こうから
「今日は十六夜君の為にテストの要点を纏めないと……」
「私も手伝うわ」
「僕も」
「私の家でやりませんか? 図書館も最近人が多くなってきていますし」
「こ、コハクちゃんの家!! すぐ行こう!!」
「萌黄落ち着いて」
ああ、神は俺を見捨てていなかった。彼女達に気づいてもらおう。後、荷物も拾って貰おう。
『おーい、気づいてください!』
俺は叫んだ。ニャーんとしか話せないが……
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