日々の断片。
@tetonoto
"生きる" と "死ぬ" ということ
生きると、死ぬということ
生き物はみんな生きている。
誰が、というより"そういうモノ"として。
何が、というより"そういうモノ"として。
哲学者が言う。
「生きるとは、死ぬことである」
生きているから、死があるのだと。
他の哲学者が言う。
「死ぬということがあるから生きると定義される」
死の上に生きるという、事象が証明されていると。
僕は思う。
「生きるも死ぬも、変わらない。
そんなもの、その人の価値判断・基準的価値だ」
生きるということはその人の説くモノ。
生きながらに死ぬということもあるかも知れない。
死んだことで、誰かの中に生きる事もあるだろう。
だから、そんなモノは誰かが決めるものじゃない。
勝手に決めるのは、押し付けだ。
誰かが決めるんじゃなく、自分で決めるべきだ。
僕はそう思うね。
神妙な顔で、私の前の彼はそう言った。
あまりにも清々しい顔で、消え入りそうな顔で。
何処かに行ってしまいそうな彼が、怖かった。
消えてしまいそうな気がした。
居なくなりそうな気がした。
だから引き留めたかった。
そんな彼が愛しかった。
「そうだね」
「でも、ここに居てね」
彼は驚いた顔をしていた。
私が急に抱き締めたからかもしれない。
私が返事をしたからかもしれない。
いつもの彼になら、こうはしなかった。
いつも通りのただのチープな彼にならしなかった。
不思議なことを言っているなって、思うだけだった。
何処か変わっているような面白い人だと感じることはあった。
でも今なら、分かる。
彼は変わっている。どこがというか、雰囲気が。
とても曖昧で見落としそうな小さな気付き。
最近はそれが顕著であり、大きくなっていた。
彼は気づいていないだろうし、そんな気は無いかもしれない。
それでも、なんとなく思った。
分かってしまった。
だから、私は言わなければいけなかった。
伝えるということを大切にしたいから。
彼の話を聞くだけではいけない。
私も彼に伝えなきゃいけない。
「私は、貴方がいないといけない」
「私は貴方の隣にいたい」
「貴方は嫌だと言うでしょう、貴方は無理だと諦めるかもしれない」
「でも、貴方じゃないとダメ」
「私の隣に居るのは、貴方だけで。貴方の隣にいるのも私でいたい」
「だから、貴方が行く場所にいたい」
「貴方と一緒に歩みたい」
彼は困った顔をした。
そんなことを言われるなんて、微塵も思っていなかったような顔。驚いて笑った彼の顔は、
綺麗だった。
『拝啓、あなたへ。
お元気ですか? 最近は楽しいですか?
ご飯は食べていますか? しっかり寝ていますか?
まだ神妙な顔で、周りを困らせていますか?
どれも、いつかのことで懐かしいことです。
もしかしたら、恨んでいるかもしれません。
怒って、苦しんで泣いているかもしれません。
ごめんなさい。
一つだけ、伝える事を忘れていたことがあります。
貴方に言えなかったことがあります。
「頑張って、私の分まで」
苦しくても、悲しくても、辛くても。
頑張って欲しいです。
諦めないで欲しいです。
貴方の時間を生きてください。
絶対に生きてください。
最後のお願いです。
有難う、御免なさい。』
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