第0.02話 魔族狩り、来る(デーモンハンター、きたる)

 そっか、俺はこの声の主に助けられたのか。

 礼でも言っとくか?

 いやチョイ待ち。

 昨夜ゆうべの事、思い出してきたぞ。


 俺に『【!』って言ったよな?

 そして『!』とも言った。

 どういう事だろう?

 【】って何だ?

 なんだよ、結局わかんねぇ事だらけじゃねぇか。


 「そろそろ昨夜の事、説明したいんだけど。

 シャンとしてくれない?

 もう起きられるでしょ。

 それに、アタシが心に繋がってマインドコネクトなくても声出せるんだからチャント自分の口で話しなさい!」


 絶妙のタイミングで声が飛んで来る。

 【心に繋がるマインドコネクト】ってどういうこった?

 それに、【声出せる】だって?


 「あ……あぁーっ。

 お、話せるようになったのか。」


 身体の方はどうだ?

 末端の指先から中心に向かって順番に動かせるかを確認した。

 いつものルーチンだから簡単だ。

 よし、ようやく動ける様になった。

 どこにも異常はない様だ。


 「はぁ。

 昨夜はエライ目にあったってもんだ。

 どーゆー事か洗いざらい説明してもらおうか。」


 ゆっくりと起き上がりながら言った。

 部屋の様子を確認しながら、声の主に視線を移す。


 ――そこに居たのは……、一人の美少女だった。


 透き通る様な銀髪をツインテールにした痩身の女のコ。

 年齢は15歳ぐらいか。

 行ってても18以上って事はないだろう。

 だけど俺は彼女の衣装に目を奪われていた。

 

 そう、彼女はまるで中世の騎士の様だった。

 重厚で緻密な装飾が施された赤黒い甲冑が銀髪と相まって精悍に見えた。

 両の腰で、こいつも重厚な長剣が有り余る存在感を放っていた。


 「このアタシを見て恐怖を抱かなかったのは褒めてあげるワ。

 デモ、これからする話を聴いてもソノ態度を続けていられるカシラ?


 一度しか言わないからシッカリ聴いて、そして理解ナサイ。


 アタシはイリス。

 イリス・ダークシュナイダー。

 魔族界の王にして最強の術者マルドゥック・ダークシュナイダーの孫であり近き将来、魔族界を統べる者。

 そして、魔族界からこの世界に逃げた者達の抹殺者。


 アンタには狩りに【力】を貸してもらうわ。

 コレはお願いじゃない、命令よ!」





※BGM「Plague Angel」 / Marduk

 



 

 

 

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