第37話 ギルドの報酬

 現状の整理と、その後についてスイデンは説明を始めた。


 ・指名手配中。フェイド盗賊団のアジトの発見

 ・フェイド盗賊団の完全壊滅

 ・攫われた人々の発見

 ・攫われた人々の救出

 ・衛兵の不正の発見

 ・略奪品の発見及び回収


 この6項目だが、通常であれば1つ1つが、冒険者の手柄になり得るものであり、発見と壊滅、発見と救出が別々なのは、見つけたからといって殲滅できるものではない為。であるそうだ。

 勿論発見と救出も、同じ意味との事だった。


 そして今後については

 ・指名手配中の盗賊団員の確認

 ・攫われた人々の解放手続き

 ・略奪品の返却交渉

 ・ギルドランクの更新

 ・衛兵の不正の証言

 があるとの事だった。


 もし攫われた人の中に、奴隷がいれば所有権の譲渡があるらしいが、今回は一般市民と商人、そして冒険者である獣人という事だった為、解放される事となった。


 また略奪品の返却交渉は、通常は全て僕の物になるが、僕が返却の意思を示していることから、返却のための交渉を受け付ける事になっている。


「さて、色々と言いたい事もあるだろう。が、今回の件。こちらからタカヤに対し謝罪や何か便宜はかることはしない。あくまでもギルドとして正当な報酬を支払うだけとなる」


 確かに今回の黒幕は元Cクラスの冒険者であるゴーバであった。


 しかし、それに対してギルドが何か便宜を図るのは確かにおかしい。


 盗賊のアジトの発見、盗賊の殲滅、攫われた人達の救出に対して報酬がでる。これは正当な冒険者としての通常の仕事のうちで、貰えるべき報酬だからだ。


 そして既にギルドは、ゴーバへの2階級降格という罰を出している為、謝罪の必要はない。


「はい。勿論です。ところで今回の件って報酬なんか、出るんですか?何もクエストとして受けてませんが」


「ああ。出る。今回のように盗賊がらみの場合一々クエストなんか受けていたら好機を逃す。そのため、事後で処理される。今回は指名手配の報酬と、衛兵の不正に対する報酬は詰所で出るがな」


 そういって手に持っていた小袋をテーブルに置く。


 コンコンッ

 小袋がテーブルに置かれたところで、セリナさんが飲み物とメモを持って帰ってきた。


 ギルマスにメモを確認させると、本来の業務に戻るようで、軽く頭を下げ部屋から退室した。


「話を続けるか。これが今回の報酬だ。一応トップは替わっていたがフェイド盗賊団は指名手配がかかるほどの盗賊団。それなりに報酬も多い。白金貨1枚と金貨28枚。これが今回の報酬だ」


「……は?金貨総数128枚!そんなにあるんですか?」


「おう。そりゃそうだろ。なんせ本来複数人でやる仕事だ。総取りならこんなもんだろ。プラス指名手配報酬も後からあるしな。それと今日からDランクな。本来全くクエスト数が足りないが、1人でCクラスのゴーバ率いる30人弱を殲滅となると話は別だ」


「Fから2ランクUPですか。有難うございます」


 登録してから数日でランクD。迷宮に入れるDを目指してたけどこんなに早くなれるとは。


「だが!」

 Dへの昇格について考えていると、考えを遮るようにギルドマスターが手を前に出して言葉を続ける。


「今回は特例となる。実は条件が課せられている。今のままだと緊急時はDとして扱われるが本来はEというおかしな状況だ。他のギルドの奴らがお前の昇格に対して異議を唱えてきている。だからこそタカヤ、Dランク相当の依頼10件分。クリアと共に正式なDとして認める。こちらの都合で申し訳ないがとにかくクエストをこなしてくれ」


 そうすれば文句は言わせないと、スイデンはこのおかしな状況に頭を下げる。


「わかりました。どうせこの後色々と依頼を受けようと思っていたところです。Dランクから10件受けてみます」


「おっおう。頼む。お前の実力はギランからお墨付きをもらっている。あいつからのお墨付きなら俺は文句ねぇ。俺からは以上だ」


「はい。有難うございました」


「それでだ。この後の事だが、このままここに残ってくれ」


 どうやら先程のメモにあったようで、この後ここで攫われた人達の解放の手続きが行われるそうだ。


 そしてギランさん同席のもと、事務処理が行われる手筈となった。 


 ギルマスであるスイデンとの話しが終わり、入れ替わりで部屋にギランさんが入ってくる。


「やあ。タカヤくん昨日は、というか今日の明け方か。ゆっくり休めたか?」


「はい。ギランさんお陰でゆっくり休めました。《幸腹亭》を紹介してくれて有難うございます」


 本当に幸腹亭を紹介してくれたギランさんには感謝だ。もしあそこでなければ僕はもっと苦しかっただろう。


 お互いに昨日の労をねぎらったところで、最初の1人が通された。


 順番としては時間のかからない一般女性6人と、獣人の冒険者の3人組、最後に商人2人となっていた。


 すでに商人2人からは、返却交渉の意思がある事は聞いており、交渉の時間を取るために最後に回してもらっていた。


 そして、すぐに綺麗な女性達が部屋に入ってくる。その姿は捕らえられていたときとは違い、身ぎれいになり、少し表情が戻っていた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る