第24話 全てを放り投げてしまう程の極楽へ

「はい、これにサインして?」


 女帝、ゼルディアを受け入れる事にして数分。

 そのまま壊れたようにゼルディアの抱擁に甘んじていたがようやっと落ち着いて体を起こせばサインを求められた。

 ゼルディアが言うには、私を正式に国民としてこの国に縛る為だと言う。国際的に見ても合法的な証明だと。

 面倒ではあるが背後から抱き着いて順々に、丁寧に指示を出してくれるそれに従って、でも時々内容をしっかりと読みながら署名と記入を進めていく。


「そんなに警戒しなくても変な事は書いてないわよ。」

「性格なんだから仕方ないだろ。」

「んふふ、大丈夫、直ぐにそんな不要な警戒も出来ないようにしてあげるから。」

「どうだか。」

「大丈夫、」


 くいっ、と背後から顎を掴まれて目線を合わせられ、


「直ぐに私以外見えないようにしてあげる。」


 ……十分、盲目的だとは思うんだが。まだ、まだこれ以上私に何かを望むのか?

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