裸身勇者〜強敵が現れたら『倍化』の力でパーティーメンバーの服も剥き出して全身全霊のナイスバルク!!〜
スバルバチ
一話 朝食ー1stサプライーから始まる異世界召喚
「今日は一段と
窓から差し込む光に照らされた背中はいつ見ても美しい。
右上腕二頭筋を顎に寄せ、振り向き様に覗く肩の汗が煌めき、なめらかでありながらも確かな膨らみを持つ僧帽筋が光のイルミネーションで彩られ小刻みに躍動している。
「モスト…マスキュラーッッ!!!」
躍動した僧帽筋がバンプ・アップして筋肉が興奮していやがるっ!
「良し。ナイスバンプ。」
鏡の中の筋肉に別れの挨拶をして
ここで先ず第一に重要な事を伝えておこう。
私は決してボディビルダーではない。ましてやボディビルだけを敬愛する者では決してない。
確かにあの輝かしいダイヤモンドのような鋼鉄の筋肉と鋼の精神によって其れを成すボディビルディングには尊敬と敬意を払っている。
しかし俺自身は成人男性よりもほんの少しだけ筋肉の付きが良いだけの有り触れた
俺は
自慢ではないが僧帽筋だけなら惜しげもなく皆に披露できる程だ。
だが同時にしなやかな人体の曲線美も、脂肪が織りなす流線美も同時に敬愛している。
海外モデルのカモシカのようなスラリとした美脚は見ているだけでご飯三杯はいける。
ブレイクダンスを踊るふくよかなダンサーのチラリズムが魅せる腰回りの躍動など共に筋肉が躍る程だ。
そう、俺は「肉体美」をこよなく愛する極々普通の健全な男子学生なのである。
「ティキンサラダ良し、バナナ良し、
とは言いつつもやはりあの強靭な肉体には憧れがある。
淡い期待を抱きつつ日々の
「すぅぅぅぅぅ…」
両手を大きく広げ僧帽筋を引き締め背筋を伸ばしながら大胸筋を張り、ゆっくりと掌を合わせる。
「こぉぉぉぉぉ…」
この時、息を吐きながら上腕三頭筋を使って水平に手を動かす事を忘れてはならない。
「いただきます。」
両手の母指内転筋で箸を掴み、
◇◇◇
「既に状況は逼迫しています。この世界に新たな勇者を召喚しどうか我々をお救い下さい!」
確かにこの世界はそれなりの魔王がいて今もその軍勢に世界が脅かされている。
しかしワタシはあくまで「美と豊饒の女神」であって戦闘なんて野蛮な行為に力を貸すなんてとてもではないが出来はしない。
「ちょっとどうしよう…」
「何?憂鬱を纏ってまた他の男神をひっかけようとしてんの?」
「そうじゃないわよ!ほら、最近私、ミズガルズの方に転属したじゃない。」
「ああ、最近ちょっと話題になった場所ね。確か複数の勇者を送り込んだけど何度か魔王に倒されたっていう世界だったかしら?」
「脅威としては其処までじゃないらしいんだけど、ほら、最近どこも忙しいじゃない?だから六柱の新米女神に事態の収拾を任せてたんだけどその悉くが返り討ちに遭っちゃったわけよ…」
「だから徳の高いアンタが追加メンバーとして選ばれたんでしょ?」
「選ばれたんでしょ?じゃないわよ!ワタシは「美と豊饒の女神」なのよ!基本戦後の事後処理担当なの!後方支援担当なの!そんなワタシに魔王を打ち倒せとか…」
「確かにそれは災難だね。最近流行ってる異世界召喚とか異世界転移も基本は神性に寄った相手が召喚されるからねー。」
「ワタシも頑張ったんだよ!?転生も召喚も試したけど、一人は創生の聖剣を持たせたにも拘らず仲間と協力もせず前へ、前へと出すぎて勝手に自爆しちゃったし、もう一人は
「確かにアンタには難しい案件かもしれないね。」
「それにも拘らず連日連夜、神乞いと召喚依頼が何度も何度もひっきりなしに…あぁぁぁっっ!!!もうっ!」
「だけど召喚にしろ転生にしろあとワンチャンあるんでしょ?取り敢えず試してみたら?」
一柱の神が一つの異世界に異人を送り込めるのは三度まで。確かにラストチャンスが残っている状態ではあるけれど…
「此れで変なのが来たらもうおしまいだわ。」
「神代の試練を越えられなかったら徳が大幅に下がるからね。まぁアンタなら失敗しても消えることはないでしょ。ほら、あの熱烈なファン、未だアンタを見てるよ。」
両手にサイリウムを持った小太りの男神共が物陰から此方の様子を窺っている。
その背中のバックから突き出たポスターはまさかワタシの…
「はぁ…一体どこの世界に感化されたんだか…。」
「どうせ最後なんだから、単純に夢や力を求める者よりも命に感謝しているーとか生物を愛しているーとかそんな奴を選別してみたら?そっちの方がアンタの神性との親和性が高まるんじゃないかしら?」
「でも戦いの世界では力に貪欲な者の方が生存率高いわよ。知り合いの神々が選んだ勇者も殆どがそういう者達だって言ってたし…」
「フレイヤ…アンタは自分の力をもう少し信じてやりなよ!それで失敗しても後悔は少しは軽くなるはずだよ。」
「ロヴン…あんただけだよ。ワタシを慰めてくれるのは…」
「はいはい、じゃあワタシもそろそ行くよ。」
「じゃーねー…」
ワタシもいつまでもぐずぐずはしていられない。
女神の間に戻ってゆっくりと気を静めながら
「感謝…愛…感謝…愛…中々いないわね。やっぱり皆
各種パラメーターを読み取り選定しながら今回は戦闘能力や成長限界は度外視して、自身の神性に合いそうな者を選別していく。
「食事の際には一日三度の感謝の一礼を欠かさない…生命の美を慈しんでいる…何この聖人みたいなプロフィールは…」
「種族はヒューマンか。戦闘面のパラメーターは他種族より低めだけど恩恵の使い方が巧みな種族ね。見た目はワタシ達と殆ど変わらないし。」
選別の際、ヒューマンはモンスターや長命種に転生させたりすれば中々良い働きをするということで中々に人気のある種族だ。
転移でも低い身体能力ながら数々の功績を残す勇者を比較的多く輩出している。
中には二度目の馬鹿の様にハーレムを決め込む奴も大勢いるのだけど…
「そーぼーきんが唯一の自慢?何よ此れ。意味分かんない…でも…」
こいつならあの創生の聖剣を使いこなせるかもしれない。あれは仲間への信頼と生命を慈しむ心が力となって新たな力を生み出すワタシが持つ至宝の中でも最上級の神器だ。
「このまま悩んでても仕方がないっ!お願い!頼む頼む頼む…いくわよっ!!」
エメラルドに彩られた女神の間から輝かしい光が放たれ、辺り一帯を真白に染め上げていく。
◇◇◇
「ん?フンッッッヌバラッッ!!!!」
突如、
「こ、此処は…何処だ!?」
瞳を開けると辺り一帯が真っ白な空間になっていた。
「ようこそ、女神の間へ」
「何処だ!隠れてないで出てこいっ!」
その言葉と共に目の前に瞳を閉じたあまりにも美しい曲線美を持つ絶世の美女が白い霧の中から現れた。
「異世界の者よ、貴方は選ばれたので…」
「そんなことはどうでもいい!!貴様、俺の
はい?サプライって何?
普通此処はあまりの驚きで言葉を失い、私の説明をただひたすらに聞くようなワンシーンの筈。
なんだろう、途轍もなく嫌な予感がする…
ワタシは眩い発光によって閉じていた瞳を恐る恐る、ゆっくりと開いていった。
「…ってかなんで全裸っっっ!!!!!!!!!!!!!!!!????????????????」
其処には、全身を細かく振動させ、熱り立つ象徴をその身に宿した、痩せマッチョの爽やか男子が、中腰のまま全てを曝け出した状態で、空気椅子を敢行しておったとさ。
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