愛おしかったあの香り


珈琲の香り

ゆらゆら漂う

姿は見えないけど

とてもとても愛おしい


鼻に抜ける香ばしい香り

それはそれは

何時でも飲みたくなるあの匂い

とてもとても愛おしかった

あの匂い


あの匂い

今は愛おしくない

あの匂い

嗅ぐと暴力と嘲笑を

憐憫と見下しを

圧力と暴言を

思い出し

息がひゅっ詰まる


愛おしかったあの香り

今は暴力の香り

愛おく感じたあの香り

帰してと嘆いても

それはただ虚空へ響くのみ

ただただ虚しいのみ




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