第23話 銀色の部屋

ラブホテルに行ってみたい。そこで生まれてくるたくさんの蝶々を捕まえてひとりひとりに世の中というものを教えてあげたい。ここがジャングルです。ここが駅です。ここが海です。ここが教室です。

私達はみんな無毒だ。そういう風に成分表に記しておいたから。背中だ。真っ赤な字だ。なのにまだ誰も契約を済ませていない。

知るということの後ろ側にいる人たちが切り分けてくれるケーキを食べている。お金を払う。だからハムスターは小さいまま死ぬ。名前をつけてあげないとペットとは呼べないらしいよ。ナイフとフォークだったら、フォークの方がまだ近いと思う。そういう生命の使い方で、あなたを傷付けてみたい。

もっと自然に惚けていられたらいいね。何も知覚できない夜の奥ではたくさんの静電気が生まれているね。走り回っているね。五感がすぐに入れ替わって集中できないのに、先生は授業中チョークの色を替えるのをやめない。ここは重要です。中途半端な言語なんて、滅びたほうがマシだ。

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