髪と少女の殺人事件

髪を切った。

美容師は髪をジョキジョキ除いた。


「社会人だから、化粧もちゃんとしないとね」


『いっそ、丸坊主にしてくれ』と叫ばない事に苦労した。

落ちた髪の束を見ていた。

帰りの電車窓に、知らない大人が映っていた。


『ああ、わたしの少女は死んだのだ』


髪を切った。

少女時代から伸ばし続けた髪を切った。

私の中の少女が、死んだような音がした。


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