僕の、君の絵画へのエゴイズム

伊藤 経

はじめに

 私が無粋にも、私の小説を読んでいただけるという読者の方々の出鼻を挫く事を許していただきたい。

 はじめにどうしても言っておかなければならない事がある。


 私は弟子なぞ取った事もなければ取られた事もなく、人に芸術を教えた事もなければ教えられた事もないという事だ。

 私はこれを書くに当たってこの小説の核となる気づきを人に伝えたいという欲求の他に、なんら意図する所はないという事を理解してからこれを読んでいただきたいのだ。

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