第3話 エチエチな夜
時刻は9時を回り、夕食の時間はとっくに過ぎてしまっている。
「リナ、腹減ってないか?」
「お腹は空いたわ」
「よっしゃあ、飯にするか!」
ということで2人初めての夕食だ。
俺は、キッチン横の棚の中からカップラーメンを取り出す。自炊はたまにするが、食器洗いなどが面倒なのでこうしてカップラーメンを常時買い溜めしている。
「それは何なの?」
リナは俺の持っているものが気になるらしい。
「ふふんっ!紹介しよう、これはカップラーメンッ。技術の進歩の結晶だ!」
「よく分かんないけどなんだか面白そうな名前ね!」
「見とけよっ!」
リナの目の前でやかんのお湯を注ぎ、蓋の上にボックスティッシュを乗せる。その後タイマーをセットし、3分待つ。
ピピピッ
「今だ!」
蓋を勢いよく開けると、豚骨の香りが広がる。
「いい匂い、そしてこの長い紐は何!?」
「これはラーメンって言うんだ」
「お湯だけで作れるなんて凄すぎるわねっ!」
こいつ、今日一日で「凄い」って何回言ったんだろな。リナに箸を手渡す。
「「いただきます!」」
リナは髪を耳にかけ、箸を不器用に使いながら麺を念入りにふーふーする。
なんかすっごくエロい。ついつい、彼女に見とれてしまっていた。俺も男だ、可愛い女子の仕草にドキリとすることだってある。
「何?もしかして惚れちゃった?」
俺の視線に気がついたリナはニヤ付きながらこちらを見る。
「いや、ちっとも」
むすっとした顔をする。何がしたいんだ。
リナは麺をうまくすすれないようで少しずつ口の中に入れていく。
「美味い!」
「だろっ!?」
「成は毎日こんなものを食べてるなんて幸せ者よね」
「でも、カップラーメンの食べすぎはあんまり体に良くないから」
「そうなのっ」
リナは目を丸くする。
でも流石に毎日カップラーメンは不健康だからな。
「リナは前の世界ではどんなものを食べていたんだ?」
「色んなものを食べてたねっ。特に好きだったのはウルファンって言うモンスターの唐揚げかな、カリッとした衣にさっぱりした身は絶品だったわ」
「そのウルファンって、どんなモンスターなんだ?2メートルを超える大型のクモよ」
「ぶふっ」
「大丈夫??」
クモッ!?
ラーメンを吹き出しかけてしまった。リナがとても美味しそうなものを紹介したと思ったら巨大なクモだなんて。
「成は明日どこかへ出かけるの?」
「ああ、明日も学校でな。今日は木曜日だから明後日は休みだけど」
「じゃ、私はお留守番ね!哲彦がいない間にこの部屋片付けといてあげるわよっ」
「うっ」
部屋の様子を確認する。山積みになったチラシやプリントが目につく。俺は1人暮らしだったからな、ある程度散らかっていても大丈夫だったがらな。許してくれリナ。
「ありがとな」
「こんな美少女に部屋を片付けてもらえるなんて成は幸せものよね」
こいつ、容姿端麗なのにところどころ気に触るんだよな。
「お前、早く食わないと麺が伸びて美味しくなくなるぞ」
「本当に!?」
「本当だ」
リナは急いで残りのラーメンを食べ始める。
食事の片付け後、俺らはもう寝ることにした。
「俺は疲れたからもう寝るな」
和室に敷かれた布団の上をゴロゴロ転がるリナに声をかける。
「もう寝るの?」
「明日も学校だからな」
リナはその場で頬杖をつき、上目遣いをしてくる。可愛いのが悔しい。
「私と同じ布団で寝なくていいの?もしも成が『入らせてーっ』て頼んでくれば一緒に寝ないこともないけど?」
「何言ってんだ?」
ガタンッ
「ちょっと!?」
扉を閉める。
あんな地雷踏んだら俺の人生はオワる。危険を察知した俺はすぐに回避する。
あーあ、今日は色々と疲れたな。
水を一杯飲み、自分の寝室へ向かう。ベッドの中に入ると体力的にも精神的にも疲れが溜まり、睡魔が襲ってくる。
俺の意識はそのまま闇に落ちた。
* * *
うーんなんだか暑いな。
異様な暑さと体の重さで思わず目を覚ましてしまう。エアコンつけていたはずだけどな、もしかしたらあの雨で風邪でもひいたのか?
俺は体を起こそうとする。
むにゃっ
顔面が柔らかい壁にぶつかる。そしてなんだかいい匂いがする。ここでやっと視界が戻ってくる。
「おい」
今ようやく理解できた。人型の物体が俺の体にひっついている。暑くて体が重たい理由、それはリナが俺に抱きついているからだ。
なんでここにいるんだよっ!もしかして俺っ!?あの行為をしてしまったのか!?
そう考えた途端、冷や汗と共に目がはっきりと覚める。すぐに体が動ける範囲で布団の匂いを嗅ぎ回る。
「大丈夫みたいだ」
こいつ、ビビらせやがって。俺はすぐにリナを引き剥がそうとするが、ゴリラ並の力を持つ元冒険者はびくともしない。
どうすんだよこりゃ。
「むにゃむにゃ、アイスクリーム…」
ペロペロ
更に、リナの夢の中でアイスクリームとなった俺の首筋は彼女にペロペロと舐められる。
「ひゃいっ」
思わず変な声をあげてしまう。このままだと俺の理性がっ!俺は必死の抵抗をするが、彼女は離れてくれるどころか更に密着してきてしまう。
お願いだから離れてくれって!
ペロペロ
「ふぁぁ」
ダメっだ!何度も理性が吹き飛びそうになるのを抑えながら俺は抵抗を続ける。
が、それも長くは続かなかった。
もう、体をリナに任せてしまった俺は一切の抵抗もしなくなってしまった。
「もっと食べたい…」
リナは体を更に押しつけて、体は密着する。甘い匂いが鼻を刺激し、本当に理性が飛んでいってしまう。
ああ、もう勝手にしてくれ…
俺は彼女に体を預ける。
少しずつ体が強く圧迫されていく。なんだか心地良…あれっ?ちょっと苦しいような…
リナの締め付けは止まらない。止まるどころか強くなっていく。
いや苦しいっ!息が出来ないって!ギブギブギブっ!死ぬ死ぬ死ぬっ…
「がはっ」
リナに固め技を食らった俺はぽっくりと再び夢の中に戻った。
「ごちそうさま…むにゃ」
【余談】
ここまで読んでくださりありがとうございます。投稿して2日目だったのにフォローや評価をいただきました。ありがとうございます!!
これからのお話ですが、リナの言動や行動の裏側や、主人公の話、新キャラなどもしっかりと執筆していますので、これからも応援宜しくお願いしますm(_ _)m
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