第142話 ブラッシング

 クリスマスが終わったらお正月まで休暇のように過ごした。世界を見守る以外は特に何もしなかった。


 せっかくの機会だからルイス狼とモニカ狼のモフモフを堪能させてもらおうかなって思ってインターネット通販で大型犬用のブラシを買った。


「あのね…モニカ、ルイス」

「何かしら?」

「モニカとルイスをブラッシングさせて欲しいんだけど」

なんだか恥ずかしくてもじもじしてしまう。


「いいわよ!」

「ほら!」

モニカがこちらに背中を向けて、ルイスはドーンと腹這いになった。


「結構抜けるね」

ルイスとモニカを交互にブラッシングしているが意外と抜けた。

「抜けた毛を貰ってもいい?」

「構わないけどどうするの?」


「ニードルフェルトで何か作りたいなって」

「俺たちは構わないからカレンの好きに使っていいぞ」

「どうせいつも捨てているのよ」



 年末は見守り業務のみで時間があるので抜け毛でニードルフェルト犬を作った。初めて作ったけど、けっこう上手くできてルイスとモニカに似てると思う。


「カレンは器用ね!」

「姉ちゃんと俺に似てるな」

2人からも好評で嬉しい。


「じゃあ、これはリビングに飾るね」

いそいそと生ハム原木の横にディスプレイした。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る