第40話 ルイスとモニカの料理教室
今日はボリート・ミスト(いろいろな肉の煮込み)を作った。ボリート・ミストはルイスとモニカのお気に入りで、いろいろなお肉と野菜を煮た料理だ。
「材料は牛肉の塊、牛たんブロック、鶏の骨付きもも肉、サラミ、にんじん、セロリ、たまねぎ、ニンニク、じゃがいも」
「大雑把に切ったにんじん、セロリ、丸ごとのタマネギ、丸ごとのにんにく、肉の塊を鍋に入れて、材料がかぶるくらい水を注いで火にかける」
ルイスとモニカが生き生きしてる。
「サラミは脂が強いので別で煮込む。煮込む前に軽くフォークで穴を空けてね。じゃがいもも別に茹でておくわ」
「ある程度煮込んだら鶏のもも肉だけ取り出し、牛たんを弱火で煮込む。牛たんは煮込んだら皮を外す」
「茹で上がったら固まりのまま皿に盛って、じゃがいもを添える。サルサ・ヴェルデやマスタードをつけて頂くと美味しいわよ」
「茹で汁はスープにしてもいいし、リゾットを炊いてもいい。美味い出汁がでてるぞ」
ついでにモニカがサルサ・ヴェルデの作り方も教えてた。
山盛りのイタリアンパセリにオリーブオイル、パン粉、ゆで卵の黄身、アンチョビ、白ワインビネガー、塩、ニンニクを加えて作ったソースでお魚にも合う美味しいソースだ。
現代ならミキサーかフードプロセッサーでガーっとやるけど手でみじん切りにするのは大変だよねと思ったらウィルコにやらせてた…モニカったら。
茹で汁はルイスとモニカによってリゾットになった。ダニエレさんとイラリーさんが用意した宿の料理はブロデットという魚介のスープとイカ墨のスパゲッティだった。
「ブロデット美味しい〜!」
「漁の最中に傷んで売り物にならなくなった魚なんかを使って漁師が船の上で作っていた料理がルーツだ。いろんな魚や貝を入れて煮込むんだよ」
「うちはトマトペーストとビネガーを加えるのが特徴ね」
「酸味が効いてて美味しいね、アサリにアンコウ、シャコ、エビ、スズキとヒラメが入ってる?」
「今日はカサゴとエイも入ってるな」
「何が入るかは漁師次第なのよ」
「作り方は単純だ。大きな浅鍋い鍋で玉ネギとニンニクのみじん切りをオリーブオイルとトマトで良く炒めたら、ピーマンと唐辛子の細切りも入れてさらに炒める。その上に同じ大きさに切り分けた魚介を、硬いものから順に重ならないように並べて見ずにとビネガーと塩を加えて煮るだけだ」
「いろいろな種類の魚介を入れるのがコツかしらね、旨味がたくさん出るから、タイやスカンピ、ムール貝、カニやイカやシイラなんかも有れば入れるんだが今日は市場にちょうど良いのが無かったな」
「充分美味しいよ!」
「カレンちゃんは美味しそうに食べてくれるから嬉しいわ」
ダニエレさんとイラリーさんと微笑み合う。水で煮込むのを魚介類で取った出汁で煮込んだらさらに濃くて美味しいだろうな。
ちらりと横を見ればルイスとモニカが肉の塊をガツガツ食らっている。ウィルコは肉も魚もバランス良く食べてる。
ウィルコには毎日市場で魚の干物を作ってもらっている。興味を持って買っていく人や作り方を聞いてくる人が結構いるらしい。生のままよりも日持ちするから少し離れた地域にも販売できるよ。少しでも干物作りが広まるといいな。
私たちがカンパニアに来た初日にはリモンチェッロも仕込んだ。
作り方はレモンをよく洗って皮を薄く剥く。白い部分は苦みとなるので黄色い部分だけ使う。煮沸消毒したビンにレモンの皮を入れてスピリタスを注ぐ。密閉して1週間寝かせたら濾して皮を取り除く。鍋にグラニュー糖と水を入れて火にかける。シロップが冷めたら、ビンに加える。さらに1週間寝かせたら完成。
ストレートで飲んでもソーダやジュースで割っても美味しい。アイスに掛けても美味しいけどこの世界にアイスはない。もっと世界が豊かになったらスイーツも広めたい。
レモンの産地だからレモンを使って日持ちのする物をつくりたかったんだ。ダニエレさんとイラリーさんが気に入ってくれるといいなあ。試飲にはパオロさんたちも呼ぼう。
さらに1週間寝かせる間に、南へ仕入れに行くから戻ってくるのが楽しみだよ。
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