第32話 まずはアクアパッツァかな
「じゃあルイスとモニカがおろしてくれた魚はアイテムボックスにしまっておいて明日食べるとして、今日はウィルコが捌いてくれた魚をアクアパッツァにするよ!」
3人には同じくスズキを捌いてもらったが、3人別々な魚を捌いてもらった方が良かったかも…と思ったが後の祭りだし私の魚欲が高まっているので問題ない!
ウィルコに捌いてもらったスズキは30cmちょっとの大物だ。インターネット通販でアサリやムール貝などの貝類やタコ、イカなどのシーフードと一緒に買った。
シーフードをふんだんに使ったアクアパッツァはブイヨンなどを使わずトマトや白ワインなどの水分で魚介の旨味を引き出す料理で私の大好物だ。
旨味たっぷりの出汁をバケットにつけて食べても美味しいし、〆でリゾットやスープパスタっぽくしても美味い。まあこの世界ではまだ米を発見できていないから野営でリゾットはお預けなんだけどね。
「じゃあ、早速調理を始めようか。スズキに塩・コショウをしたら、オリーブオイルを熱したフライパンで両面をこんがり焼いてね」
ジュワーといい音が響き、香ばしい香りが期待させる。
「潰したニンニク、鷹の爪、タマネギのみじん切り、湯抜きしたトマト、オリーブを加えて炒める。隠し味にアンチョビも入れちゃおう!そしたら白ワインを加えて再びをフタをしてスズキに火を通す。汁気が足りなければ水を足してアサリやムール貝を加えて蒸す!」
フタを開けるたびに美味しそうな香りが漂う、ダッチオーブンは煮込みにも最適だよね、魚まであと少しだ。
「ウィルコ、野菜を洗ってスティック状にカット出来た?」
「うん、こんな感じかな」
サイズも彩りも素晴らしい出来だった。
「さすが上手だね!最高だよ」
「カレン、こんなものか?」
焚き火でニンニクを皮ごと焼いていたルイスとモニカがホクホクのニンニクをカレンに見せる。
「うん!最高の状態!皮つきのまま焼いて粗熱がとれたニンニクの薄皮をむいてフォークで潰して、小鍋に潰したニンニクとアンチョビとオリーブオイルを入れて温める。今日はチコリ、ラディッシュ、パプリカ、カブ、アスパラを用意してもらったけど他の野菜でも美味しいよ!」
予想通り狼たちは無反応だ。
でも気にしない。
「アクアパッツァも出来たね!」
キャンプ用のテーブルにアクアパッツァの鍋とバーニャカウダのソースと野菜を並べて…アイテムボックスから、揚げたての状態で保存していた、から揚げとカツサンドを大皿で出す。
「から揚げじゃないか!」
「今日の夕飯は最高ね!」
狼たちが手のひらを返した。
「じゃあ、いただきまーす!」
スズキをほぐしてムール貝やアサリやイカなどの魚介類と一緒に盛り、旨味たっぷりのスープをかけてウィルコの近くに置く。
「これから行く地域に合った料理だと思うの。トマトと一緒に広めたいんだ。食べてみて!」
キラキラしたウィルコがスープと魚介類をスプーンで口に運ぶ。
「ん!美味しい!美味しいよ!カレン!」
「気にいった?」
「うん!」
「南の海に近い地域でも気に入ってもらえるといいなあ」
自分の分をよそって食べる。…美味い。これこれこれだよ、私が食べたかったのは!
「カレン、こっちは?」
「バーニャカウダは好きな野菜をソースに付けて食べるだけ!」
ラディッシュでソースを掬って一口でいく、美味しい!そんな私をみてウィルコはオレンジのパプリカでソースを掬う。
「これも美味しい!」
「野菜嫌いでもモリモリ野菜を食べちゃうソースだよ!」
…ただし狼を除いて。
ルイスとモニカはから揚げとカツサンドしかたべていない。…いいんだ、その分私たちの魚の分け前が増えるから。
ウィルコと2人でアクアパッツァの2/3を平らげたタイミングで〆だ。
「今日はスープパスタで〆にするよ。スズキの身を解して骨を取り除いたらアイテムボックスに入れておいた硬めに下茹でしたショートパスタを入れて温める。パスタが出汁の旨味を吸ってアルデンテになったら具沢山のスープパスタの出来上がり!ルイスとモニカも食べる?」
すでにポテ腹の2人に薦めると「少し…」という答えが返ってきた。狼たちの少しは普通の一人前なので4等分によそう。
「美味しい!」
「うん、魚介類から出た出汁をパスタが吸ってて美味しいね」
ウィルコと私は大満足だ。
「あっさりしてるな」
「でも旨味は凄いわね」
「ああ色々な旨味が混ざって複雑な味だ…あっさりしているが」
ルイスとモニカは味音痴なのか違いの分かる狼なのか…謎だ。
バーニャカウダは半分くらい残ったのでソースも野菜もアイテムボックスにしまった。次の機会に準備無しで前菜として楽しめる。時間経過無しのアイテムボックス様様だ。
今日は野営地で誰とも会わなかったけど、次の野営地では地元のグループに会えるかもしれない。そうしたらウィルコに調理してもらってトマトを使ったシーフード料理を広めよう。
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