第4話 初期設定
「どうしてって…カレンはお酒の飲み過ぎで死んでしまったでしょう? だから飲酒不可能年齢まで戻しておいたよ」
「でも子供じゃ不便だし!子供すぎるし!」
両腕を振り回してタン!タン!と地面を踏み鳴らす。冷静に反論しているつもりなのに子供が駄々をこねているようにしか見えないのが悔しい。
「僕がいるから大丈夫!」
ヒョロ金髪がキラキラしている。
しかし私は騙されない。こいつは自分の世界を滅ぼしかけている無能な神だ、あてにしてはいけない。初期設定で、できるだけ頼らずに済むようにしよう。今は子供でも成果を出せば生まれ変わって勝ち組だから少しの我慢だ。
「…… まずは必要な初期設定をお願いします」
「うん! 何かな~?」
小さな子供の相手をするような話し方…ムカつく…。
「まずは、私の生きていた地球の言語とこの世界の言語、方言も含めてすべて読み書きも聞き取りもスピーキングもできるようにしてほしい」
「必要だよね、…はい、できたよ」
「次にインベントリ…アイテムボックス。容量無制限で時間経過なし、生き物も収容可能なやつです。東の地域で過剰に実った作物や増えすぎた家畜を別な地域に持っていきたいことも多くなると思うので」
「うんうん。…はい、できたよ」
「この世界のどこへでも一瞬で移動できる能力もお願いします、理由はさっきと同じです」
「…はい、できたよ」
「必要に応じてこの世界の人間を使役…というと言葉が悪いですが動かせる能力も必要です」
「やり過ぎないように…ってカレンなら心配なさそうだね。…はい、できたよ」
「この世界の嘘偽りない歴史や一般常識を私にインプットしてください」
「少し時間がかかるし負担も大きいから…、カレンの部屋に行こうか。ここがカレンの部屋だよ」
なんか…ものすごい可愛い子供部屋だった。可愛くて恥ずかしいほどだ。
「ベッドに横になって。眠っている間にインストールが済むようにするね。インストール後は自動的に睡眠に入るようにするから、眠っている間に頭の中で情報が整理されて目覚める時には違和感なく自分の記憶や知識として使えるようになるよ」
「それはどうも」
よっこらしょ…と横になると眠くなった。
窓から差し込む明かりが眩しい…結構長く眠っていたのかな、起きなきゃ。インターネットや通販が使えるか試したいし…ごはんも食べたいな…
「ひああああああああ!!」
目が覚めたら横でヒョロ金髪が眠っていた。
NOロリコン!
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