備蓄

 停電になっても、俺は取り乱さない。こんなこともあろうかと、花火のときに使わなかったケミカルライトブレスレットを仕舞っておいたからな。


 確か、ここの引き出しにあったはず。


「パパーっ! これ、にじのおいろ!」

「なっ! ペンライトなんてどこから出した?」


 しかも、その形は二十周年記念ツアーのものじゃないか。俺が持っているものは実家の屋根裏部屋で保管しているはずだから、ママのコレクションってことか?


 楽しそうに色を変える娘の姿に、俺は両膝をついた。

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