第2話 種まきドラム缶

種まきドラム缶としかいいようがないものがある。港、コンビナート付近のコンクリートに舗装された大地にそのドラム缶は放置されている。そして月に一回、液体のようなものを撒き散らすのだ。私も数度見たことがある。そして辺りに撒き散らされたそのコールタールのような黒色の液体は、もう一ヶ月間かけ徐々に成長していく。最終的に何になるのか私は知らない。途中で黒服の男たちが回収していくからだ。彼らは何を目的としているのか、そもそも実在するのか、種まきドラム缶の一部ではないか、無数に謎が存在している。しかし私はそれらをすべて無視する。その方が楽だし、幸せだからだ。

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