第2話『幼なじみをわかりたい』
「着いたわよ。ちゃきちゃき歩きなさいよ、クソザコ兄ちゃん♡」
「ちゃきちゃきと歩きたいところだけど、いま俺は肩車しているからな」
「ださぁ~いw 男なのに、女の子を肩車しただけでバテてりゅのぉ~♡」
「そうじゃねーよ。あんま早く歩くと危ないだろ。おまえさぁ、体弱いんだから、しっかりと俺につかまってろよ。肩の上ではしゃいで落ちたら怪我するぞ」
「ばっ、……ばーか、ばーか……、……しゅきっ……」
(はぁ、ほんとコイツ――かわいいんだよなぁ……。なぁーにが『しゅきっ』だよ。こっちの方がずっと前からお前のことを"しゅき"だっつーの)
「着いたぞ、ここがムサミューっつーとこだよな?」
「そうよ。凄いでしょ! とーっても大きいでしょ? 世界でも有数の規模の図書館、おいしいレストラン、ホテル、イベントホール、なんでもあるのよっ!」
「へぇ、そりゃすげーな。この規模の文化施設は珍しいかもな」
「ムサミューの図書館にはよわよわなお兄ちゃんがだぁーい好きな漫画だって、たぁーくさんあるんだから♡」
「漫画っても昔の名作とかだろ? 知ってる知ってる」
「いいえ、神滅の刃、転ヌラ……そして、えっちなお兄ちゃんがだぁーいすきな、異世界ダンジョンでハーレムをも、よりどりみどりよっ!」
(神滅も、転ヌラも好きなことは言っていたが、異世界ハーレムを読んでいることは秘密にしていたはずだが……コイツ、どこで知りやがった?)
「へー。最新漫画も読めるのか、そりゃ良い。でも何故お前が自慢げなんだ?」
「ふふーんっ! 実はムサミューにはわたしが半分出資しているからなの」
「お前、前から思っていたことだがいったいどんだけ金持ってんだよ?」
「ふん。……そうねぇ。ざっと10石油王くらいかしら?」
("石油王"って単位だったの?……つか、1石油王ってどれくらいの額だ?)
「まぁいいや。それじゃ、そろそろ建物の中に入るから、肩からおろすぞ」
「うん、ごめん。ありがと」
「あいよ。それじゃー中に入るぞ」
「よっ……よわ
「まぁ、周りの人間から見たら迷子になりそうなのは間違いなくお前の方だけどな」
「なぁにぃーよー……わたし、子供じゃないもんっ! 大人だもんっ!」
「はいはい」
「ふん、だっ! 馬鹿にして。お兄ちゃんの、努力家! 幼馴染! イケメン!」
(……ぜんぜん罵倒になっていないのだが)
「はは。そうやってすぐムキになって怒るところが子供っぽいんだよ」
「子供じゃないもんっ! わたしがその気になれば、よわよわなお兄ちゃんと赤ちゃんを作ることだって、できるんだからぁっ!」
「 」
( )
「……なによぉ……黙ってないでなにか言いなさいよ。よわ
「わかった、わかった……俺の負けだ。お前を大人と認める、なっ? だから、すこぉーしだけ、静かに話そうぜ?……そのだな、なんというか周囲の視線が怖い。なんか守衛さんこっちに近づいてきている気もするし、なっ?」
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