姉が舌なめずりをするように、ぼくもまたざらついた猫の舌のように長くのばしてひるがえす。ぼくらふたりに漂う雰囲気は悪意か、だとするなら、ぼくらはテロリストのようで、それを思って身震いした。いや、ぼくらの存在は害のないいたずらそのもののはず。こんなにおとなしくて穏やかなぼくたちなのだから。ぼく一人だけなら、そんなことをするはずがないし。第一ぼくひとりではあごからするすると白いものが出てくることなんてあり得ない。靴を履いて玄関から飛び出て、外のめまぐるしい世界へ参入をする。これを現実離れという。冗談のようなぼくらが世に放たれる。つまらなくちっぽけな二人だ、世界はそう簡単には変わらない。ただの違和感というわけなのだろうか。それは無しだろう。だがしかし。

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