ロキと紙祖神のカジノ①
「おお~♪ ここが鎮守神の言っていたカジノかぁ~♪」
「これは楽しそうな所ですね。しかし、よろしかったのでしょうか? 私まで誘って頂いて……」
鎮守神から連絡を貰ったロキと紙祖神は、エストゥロイ領にあるフェロー王国最大のカジノ『トゥルクのカジノ』に来ていた。
今頃、屋敷神や土地神、カマエルや猿田毘古神も別の国や領にある『トゥルクのカジノ』に遊びに行っている筈だ。
「うん♪ 勿論だよ、それが鎮守神のお願いでもあるし、ボク達は遊びに来たわけじゃないんだよ?」
「そうですか? その割にはとても楽しそうな表情を浮かべている様に思うのですが……」
楽しくない訳がない。
何しろ迷宮や戦争以外で思いっきり力を使う事ができるのだ。
しかも、その責任は全て鎮守神に帰属する。
人の責任で勝手気ままに振る舞えるのだ。
「まあ、楽しくないと言ったら嘘になるかな~♪ 大丈夫、大丈夫♪ 今回は鎮守神から徹底的にやっていいって言われているし、何かあってもその全ての責任は鎮守神が取るんだから♪ ボク達はこのカジノが潰れる程のお金をゲームで稼いでくればいいのさ♪ ターゲットもちゃんと排除した上でね♪」
ボク達がきた時点で、この店とターゲットの辿る運命は決まっている。
大切なのは、いかに楽しく、相手に絶望感を与えながら勝つのか、ただ一つだけだ。
「そうですね。悠斗様は白金貨十枚の賭け金で途方もない白金貨を得たと聞きますし、一柱の神として仮にも人間である悠斗様に負ける訳には参りません。頑張りましょう」
「そう熱くならなくても大丈夫だよ~♪ ボク達の勝ちは既に確定事項だからね♪ それじゃあ行こうか、頼も~♪」
ボクはそう言うと紙祖神と共に『トゥルクのカジノ』の中に入っていく。
「うわぁ~♪ 中々広くていい所だねぇ~♪」
「本当、内装も豪華ですね」
中に入ると、内装も豪華でレットカーペットに、天井には豪華なシャンデリアがテーブルごとに飾られている。
「悠斗様が言うには、カジノでの飲食は無料みたいだよ~♪」
「えっ、そうなのですか?」
紙祖神が驚きの表情を浮かべていると、飲み物を持ったディーラーがこちらに向かってきた。
「お嬢様方飲み物はいかがですか?」
「ボクは赤ワインを貰おうかなぁ~♪ 紙祖神は何にする?」
「わ、私ですか? そうですね……ではロキ様と同じ赤ワインをお願いします」
ボクと紙祖神がそう言うと、ディーラーは赤ワインのグラスを手渡し、丁寧にお辞儀をして去って行った。
「ロキ様、このカジノ、飲食無料なんですよね? ディーラーの対応も良い様ですし、別に潰すまで毟らなくてもよろしいのではないでしょうか?」
そう呟く紙祖神に、ボクはため息を吐く。
紙祖神は何も分っていない。
あれは客を持て成している振りをしているだけだ。
ギャンブルに興じた途端、牙を隠す事なく、ボク達の肉に歯を断ててくるに決まっている。
「紙祖神はまだまだ、甘いなぁ~♪ そんなんじゃ、簡単にカモにされちゃうよ? ボクらは精々、この場所で勝ちの決まったギャンブルを楽しめばいいのさ♪ それが悠斗様の為にも、ボク達の為にもなる。さあ、カジノをはじめよう♪」
「そ、そうですか? 何だか不安になって来ましたが、ロキ様がそこまで言うのであれば……カジノでギャンブルを楽しみましょうか?」
ボク達はそう言うと、赤ワインの入ったグラスを傾けながら室内を回っていく。
「さあ、まずは軍資金の確認から入ろう♪」
「えっ! ここで軍資金の確認をするんですかっ!? ここに来る前、聖モンテ教会のソテルから白金貨数十万枚を奪い去ったばかりなのに?」
「奪い去るなんて酷い言い方だね、悠斗様から貰った白金貨百枚じゃ不安だから、ソテルから借りただけだよ♪ 大丈夫、大丈夫♪ これが終わったら、ちゃーんと返すからさ♪ それにね、紙祖神は知っているかい? プロのギャンブラーは、ギャンブルをしないんだよ?」
そんな名言っぽい事を呟くと、一つのテーブルを陣取り白金貨を積み上げていく。
「だ、ダメですって、こんな所でそんな大金を積み上げては……誰が見ているか分からないんですよ」
「全く、紙祖神は心配性だなぁ~♪ 大丈夫、大丈夫♪ これはワザとやっている事なんだからさ♪」
すると、カジュアルな格好をした数人の若い男達が声をかけてくる。
テーブルに積み上げた白金貨で、早速、カモを釣ることができたようだ。
「君達、見ない顔だね。カジノは初めてかい?」
「うん。そうだよ~♪ 今日が初カジノなの♪」
「そうか、それにしても凄い量の白金貨だね。こう言っては何だけど、白金貨をテーブルに広げるのはあまり良くないよ? 悪い人間に狙われてしまうからね」
「そうなの? それは知らなかったな、忠告ありがと~♪ それで、お兄さん達はなんでここに? 忠告をしに来てくれたの~?」
すると、男達は笑みを浮かべた。
「君達は今日、初カジノなのだろう? もし良かったら私達と一緒にポーカーでもどうかな? ルールも簡単だし、カジノ初心者でも楽しめると思うのだけど、どうだろう?」
「そうなんだ~♪ 勿論、オッケーだよ~♪ 紙祖神もそれでいいよね?」
「はい。ロキ様がそう言うのであれば、異存はありません」
「それじゃあ、ポーカーを楽しもうか♪」
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