第21話 我々が深淵を覗くとき、高所恐怖症なら気を失うだろう(1枚目11日目・6月25日)
毎晩飽くことなく続ける習慣というのは必要に迫られることでより継続性を増すらしい。
よく行く量販店で使い捨てマスクの値段を日々確認しているのではあるが、まだ一枚当たり四十円程する。
安くなった、といえば安くなったのだろうが、気軽に用いるにはまだ高い。
いずれこの子たちがいなくなった時、新たなマスクを求めねばなるまいが、その時はどれほどの値になるのか、今から気になるところである。
この日の夜に某赤いコンビニに立ち寄ったのであるが、そこで二人の店員さんが悪戦苦闘されていた。
一人は宅配物の引き渡しの方法が分からずに四苦八苦し、もう一人はその方法を伝えるのに苦慮されていた。
それを微笑ましく眺めてから店内を回ったのを思い出すのだが、コンビニの店員さんも個性あふれる方が多い。
今宵はこうした方々を思い出すのもいいだろう。
まず、私が広島にいた頃に見かけた店員さんであるが、この方の声が非常に良い。
朝からダンディな甘い囁きが耳を癒し、穏やかな気持ちで仕事に向かうことができた。
ただ、家からは少々遠いので、わざわざ足を延ばす必要がある。
ある意味では、非常に勇壮な招き猫であったのかもしれない。
また、以前に仕事場の近くのコンビニにいらした男性店員さんも非常に懇意に対応してくださった。
よく帰りにそこで酒を買って帰っていたのだが、入荷などの情報を逐一教えて下さるようになっていた。
気が利くというのはこのようなことを言うのだろう。
次々と出てくる商品の中から私の嗜好をそれなりに踏まえて紹介してくださるものだから私も喜んで購入したものである。
一方で、初めてにして唯一恵方巻をコンビニの予約で購入したのはこの時である。
日本相撲協会の付属品に惹かれたというのは間違いないが、その店員さんが出ている日を選んで予約したものである。
ここまでは男性店員ばかりを選んで紹介してきたが、そろそろ女性店員も紹介したい。
この店員さんは目がいくつあるのだろうかというほど目が行き届き、かつ、対応が明るい。
その場にあるだけで店内が明るくなり、自然と店にいるのが心地よくなる。
群を抜いた美人さんというわけではないが、男女を問わずに可愛がられる方なのだろう。
そして、仕事が早いとなれば言うことはない。
こうした精鋭たる店員さんもいいものであるが、研修中の方を邪険にすることはない。
いずれ、この方たちも私の行く店を支える大事な戦力になるはずである。
それならば、悠々と構えてその変化を愉しむのがよい。
店員さんへ怒りをまき散らすのは、本来的にその対応に問題があるが故なのだろうか。
誰しもが起こしうる失敗など、酒の肴でよいのではなかろうか。
マスクを干しながら仕事場以外で話をしたのがコンビニの店員さんぐらいであったことを思い出してうち笑う。
マスクもそうであるが、コンビニの店員さんも私の生活の一部ということか。
こちらはより末永い付き合いになるかと思うと、やはり、大事にしていきたいものだ。
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