先生と私 忘れられない思い出

りょうこ

第1話 人を好きになるって?


人を好きになることなんて、私は絶対ないと思っていた。

小さい頃からかっこいいとか憧れを異性に抱いたことがなかった。


中学はいわゆるヤンキーという人たちがまだ残っていた。

他の学校ではどうなのかわからないけど、うちの学校のヤンキーと呼ばれる先輩達はなぜかみんなかっこよかった。


色んなタイプの先輩がいたけど、ちょっとチャラついた押しの強い井上先輩は、廊下で初めて私に声をかけてくれた人だった。

「かわいいね、名前なんていうの?」

人生で初めて男の人に褒められた言葉だ。


なーんも考えず髪も寝癖とかついてて平気で学校に行っていたけど、ここから異性を意識し始めたんだ思う。


とはいっても、もちろんこんな言葉本気にしたわけではない。

でも悪い気はしなかった。

こんな私でもそんなことを言ってくれる人がいる。

それから井上先輩はちょこちょこ声をかけては、褒めてくれたり笑わせてくれたりした。


周りの友達はそんな先輩達にキャーキャーいっていた。

ちょっとしたアイドル状態で休み時間は先輩達を見る為に追っかけていた。


私は全然ピンと来なかったけど、

友達の手前O先輩が好きってことにしていた。

O先輩は井上先輩の友達でよくたむろしていて、顔がかっこいいから好きということにしていた。


そしてあっという間に先輩達の卒業式。

私はO先輩に呼び出され第二ボタンをもらってしまった。

でも付き合おうとかそんな言葉もなく、

大事に取っておいてね!それが先輩の言葉だった。



友達は大好きな先輩にボタンをもらって歓喜していたけど、私はまだピンときてなかった。

先輩達が卒業してからの1年はなーんもなく、

まだ好きな人はできずに過ごしていた。











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