先輩と僕と相合傘未遂


「雨、止まないねえ」

 彼女が言った。


 かばんの中には、入れっぱなしの折りたたみ傘がある。

 憧れの先輩と相合傘のチャンスだ。


 だけど、僕はあることを思い出し、自分も傘を忘れたフリをした。


 ふたりきりで雨宿りも悪くない。

 いや、入れっぱなしの蒸れ臭い傘で相合傘をするよりもはるかにいい。

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