釣り人
釣り糸を垂らす男に、物珍しそうに船頭が話しかけた。
「釣れるかね」
「いいや」
「だろうよ。船頭になって長いが、ここで魚なんか見たこともねえ」
「邪魔かい?」
「いいや」
「なら、もう少し。本当はこんな生き方がしたかったんだ」
「好きにしな」
船頭は鼻で笑うと、三途の川に迎えの舟を出した。
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