夢のような掌編の小片集

文屋旅人

第1話 今日死ぬ男の話

 男は今日死ぬ。

 死んでしまう。

 何故死ぬのかは誰にもわからない。

 だが、その男も含めて誰もが男が今日死ぬことはわかっている。

「今日死ぬってみんながわかっているって、変な気分だ」

 そうつぶやいた瞬間、男は死んだ。

 死因は誰にもわからない。

 死体はどこにもない。

 男が死んだという結果だけ、皆は知るのだ。

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