姫奈の目的

///////////////////////////////////////////////////////



あらすじ:アリーシャと姫奈の口論から



///////////////////////////////////////////////////////




 姫奈ぴいなとアリーシャが揉めているが、このままでは話が進まない。


 こちらから別の話題を振って逸らすことにする。


 「ところで姫奈ぴいな、なんでここに居るんだ?」


 「阿良々木あららぎ君、実はここにある神器アーティファクトにあるダンジョンに行くんだけど、そこに入るのに神器を収めないといけないのよ。それで不条理にも私の神器を収めるって話になったのよ! ありえないでしょ!?」


 ああ、他の仲間とそれで揉めていたのか。


 「ああ、そこの君。阿良々木あららぎ君とかいったかな? 姫奈ぴいな様との関係は姫奈ぴいな様から聞いてるが、貴殿も神器アーティファクトを持ってるのかな?」


 背丈の高いマントを羽織った男性から話しかけられる。おそらく姫奈の仲間だろう。


 さて、ここはどう答えるべきか。アリーシャを見ると頷いてるから、話してもよさそうだ。


 「そうだな。俺も神器アーティファクトを持っている」


 周囲を確認すると周囲の冒険者らしき人たちから、好奇心たっぷりの視線が集中していた。そして、周りから、ヒソヒソと囁かれる言葉。 奴らが何を話しているのかなど一目瞭然だが。


(「おい、聞いたかよ! こいつも神器持ちらしい」)

(「見た目はそこまで強そうじゃないからそれもありだな」)

(「こいつの神器使えば中に入れるな」)


 いろいろ突っ込みどころ満載だけど、まずはアズラックたちと合流を……っと、ちょうど来たようだ。これだけ騒いでたらいやでも目立つからな。


 「クウトさん、この騒ぎはなんですか?」

 「クウト、何が起こってるの?」


 開幕俺に振られても困るんだが。――そもそもの元凶はそこに居るアリーシャさんですよ!


 「おう、あんちゃん待たせたな。――あ!」


 アズラックは何かに気が付いたようだ。姫奈も気が付いたようだな。


 「あーーーー! あの時の強姦魔!」


 姫奈ぴいなの言葉に周りの視線はアズラックに釘付けだ。

 何でこうもトラブルに巻き込まれるのか。


 「ははぁん、アズラック、あなた本当にいろんな女に手を出してるのねっ。みんな~! 最低だと思わない?」


「ちがっ! なんで俺がそうなるんだ! あの時は双方の同意の元だったろうが!」


 周囲の冒険者らしき人たちから、好奇心たっぷりの視線が集中していた。周りから、ヒソヒソと囁かれる言葉。アズラックよ。このアウェイの空気をどうするべきか。


 アリーシャとアズラックと姫奈に今は注目している。ちょうどいい。今のうちにクレスと話をしてこの先の展開をどうするか相談してみよう。


「なあ、クレス、今のうちに話しておきたいんだが」


「どうしましたか?」


 指で外を指しながら小声でクレスに話しかけると、向こうも察して人だかりから離れてくれる。


 アリーシャもその空気を察してか、騒ぎを大きくしている。アリーシャはアズラックの人を引き付けるギフトを逆手に取って、注目をこちらに集めている。


 エリナも自分が注目される可能性を考慮してアリーシャのそばに居る。



 ――こうしてクレスと俺は、目立つこともなく冒険者ギルドを後にすることにした。アズラックよ、これも戦略だ。諦めてトラブルの渦中にいてくれ。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る