第26話 水着回?

「ほら〜、エリザがモタモタするから水浴び終わってるじゃん…」

がっかりだよ僕

「す、すみませんっ」

「いい?僕が見たい訳じゃないの。読者…そう、読者の為に一肌脱いどこうと思ったのに…。水着回って有名だよ?」

鼻息を荒くして語る僕


「でも、2人とも裸ですよ?」

「…そだね。水着回は夢で終わったよ」

タイトル詐欺もいいとこだっ!


「ヌレハ、マルーン。コレを着なさい。

ご主人様からのプレゼントですよ」

エリザが2人に服を渡す


「ヌレハは…まあ、予想通りかな」

黒い髪と体と真逆の、真っ白な服が映える。背中とヘソが丸見えだ。もう少しで見えるんじゃないかな?よっ、と。


「ご主人様、なぜしゃがまれたのですか?」

……

「2つの天体が見えそうだったから?」

今日は双子星を見上げる、絶好の観察日よりだね


「ヌレハ、思った通り魅力的で良く似合うよ」

「そうなのか?よく分からんが…」

とか言って、嬉しそうなヌレハ

……

「マルーンの方は……っ!?」

見えちゃってるじゃんかっ!

コレは拙い…。いろいろと拙い

「あとでマルーンには、パンツを買ってあげるから着なさい」

頭を傾けて悩むマルーン

「イッキ様?あたしはこのままでもいーよ?」

「ダメなのっ!ホントに拙いのっ。お願いだから履いてください」

マルーンの前で土下座する僕

うん。綺麗なアソコが丸見えだね。見上げているから良く見えるよ

「ご主人様?」

「はいエリザさん。なんでしょう?」


「上を見ながら土下座するのは、聞いたことがありません」

そりゃそうでしょうね。僕も知りません

「下を見ていて、上から物が落ちて来たら避けれないでしょ?」

「そうですね。物が落ちてくる事は無いと思いますから、気にしないで下を見てください」

エリザめ…。僕のロマンを潰す気かっ

まてよ?そういえば…何か忘れてないか?

……

「エリザっ?! …大事なことを思い出したっ」

慌てる僕。遊んでる場合じゃない

「大事なことですか?」

「ほら、オークだよ」

「あっ?!」

どうやらエリザも思い出したようだ。


「ご主人様、オークがどうした?」

「お姉ちゃん、オークってブタさんのことだよね?」

2人はこの件知らないよね

「僕の故郷がその豚に攻められてるんだ」


「「?!」」


「ご主人様、そのオークどもぶっ殺すんだよな?」

チラッとエリザを見るヌレハ

やっぱり2人は知り合いじゃないかな。ヌレハには、エリザに思うことがあるような気がする

「もちろん状況によるけど、たぶんそうなるかな」

「よっしゃ!早くいこーぜ」

ウズウズして、はやる気持ちは分かるけど。

「ベスの店に寄ってからね」



◇◇◇



「ベス、大至急パンツをよこせっ!」

店に入るなり、寛いでいたベスに向かって言ったよ僕

「はいはい。急かさなくてもあげるわよん」

ベスは自分のスカートをめくり、履いているパンツに手を掛ける


「待ていっ、馬鹿野郎!お前のパンツなんか求めてねえ!」

「あら?そうなの??」

と言いつつ下ろそうとする

「やめろ!遊んでる暇がないんだ僕はっ」

久しぶりに真面目な顔になった僕


「この子に合うショーツをお願いします」

エリザがマルーンの肩に手を当て前に押し出した

「あら、かわいいわねん。…あらちょっとイッキちゃん?この子、丸見えじゃないの!」

「だからパンツが欲しいって言ってるだろっ」

ベスと話すと疲れるな

「ご主人様、パンツが欲しいだけじゃ、分かりませんよ?」

確かにそうだ。しかし…

「エリザ、ベスのパンツに需要があると思うか?」

「すみません。私が間違えていました」

だろ?誰も欲しがらねーよ

ヌレハが静かだな…

「おい、ヌレハ?」

ヌレハはマネキンが被っているベールを眺めていた

ふむ…。

「ベス、このベールもくれ」

僕は裁縫中のベスに言った

「いいわよん。その子の角隠しね?でも、せっかくの綺麗な髪なんだから…。そうね、少し直すから待っててねん」

「ありがとベス。角はナイショでお願いね」

手を振って答えるベス。こういう時は男らしいな

「ご主人様、ありがとー」

ヌレハは僕を抱きしめた

い、息が…で、きんっ

"ガクっ"


◇◇◇


「はいこれ。その子のパンツよ」

はっ?!落ちていたか。でも、ちょっとの間だけだったみたいだな

で、この短時間に2枚…。凄いよベスっ

早速履かそう。…ん?

「…あのさ、別に文句とか言わないけどマルーンはまだ子供だよ?」

広げてみたら、かなり大人びたパンツだった


「わぁあ。マルーン、これがいい」

僕の手から1枚取って、自分で履いた

「イッキ様、どうかな?」

どうって…。薄っすら見えますよ?大事な所が。

「似合ってるよマルーン」

「わーい、やったぁ」

まぁ…明るい所で見ないと、分からないから大丈夫だよね


「はい。コッチもできたわよん?」

邪魔になりそうな所を、ゴッソリ切り取ったベール。コレはベールと呼べるのか?

しかしこれなら、ヌレハの美しい黒髪が隠れることなく、良く見えるだろう。だったらベールじゃないにしてもいいか…

「ヌレハ、コレを被ってね」

ベスからヌレハに手渡る

「似合うか?ご主人様」

「あぁ、キミの黒髪に邪魔にならない様、作られてる。良く似合うよ」

「本当かっ!」

「ぶへらっ」


体当たりを喰らって、飛ばされてしまったよ


"ぽにょ"


ぽにょ?魚か??後ろ頭に何かが当たる

しかし柔らかかったな。振り返って当たったモノをみ…た

「あらん。イッキちゃんったら…オマセさんっ」

ベスの股間に当たったようだ

無言で商品の革のベルトを掴む


"スパーンッ!"


ベスの股間にクリティカルダメージ!

…ベスはぶっ倒れた


「ジェニファーに教会で復活させてもらってね」

激おこの僕はみんなと店から出たよ


◇◇◇


「よし。僕の故郷、ロマニアに向かうよ」

なるべく被害が大きくなる前に戻りたいね

「「「りょ」」」


店の横に停めてある白いホロ付きの馬車に乗り込む

ベスの馬車だけど問題ないな

「ご主人様、私が御者します」

「ありがとエリザ。いつも助かるよ。

        ベス号の御者よろしくね」

「いいえ。気になさらないでください」

今度、御者…とはいわないが、身の回りの世話をする人材をか…くほ?


「バレットっ?! そうだ、バレットは何処に?!」

「「「バレット?」」」

みんなが知らないのは当たり前。

この僕も、その人材を忘れていたしね

でも、ロマニア領から知らせが届いてるはずだから、バレットはもう向かっているよね。


「ホワイトベス発進!」


僕たち4人は、ロマニア領に向けて出発した

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