これからの方針
「村長、あなたのせいだけではありませんよ。
あの男が学校に潜んでいたのに気が付かなかった私の責任でもあります。」
ヨーダンブール校長が俯くカーマにそう言う。
「その通りです。私にも責任はあります。
肆部祭を開催すると決まったなら誰一人の犠牲も出さないのが私の義務だったんです。
それがこの有様、沢山の犠牲を出して仲間は全滅。
それに透明化の魔法の存在を私は知っていました。
それなのに奴がその魔法を使ってる可能性に気が付きもしなかった。
自分が情けなくてたまらない!!」
ナットも自分を許せないのだろう。その顔は怒りを隠しきれないでいる。
ここでフムト フィルがその流れを切った。
「責任の追及は今すべきことではないでしょう。
今すべきことはこれから先どうするかです。
この村から出ていくと言っても何処に行くかが問題でしょう?」
その言葉にフォックスタイガー医師が少し思案して答える。
「近隣の村に移り住む…というのは厳しいでしょうね。
あの男の目的がこの村の住民の皆殺しだとすると移り住んだ先の村を巻き込む可能性が高いですし、そもそも受け入れてくれる村が無いでしょうね。
他の村からしたら我々は死神を引き連れてやってくるみたいなものだ。」
「それなら王都に来たらいい。」
王国魔法騎士団 第伍番隊隊長がそう言った。
一同その発言に戸惑う。
さらに第伍番隊隊長は続ける。
「王都なら我々王国魔法騎士団がいつでも出動出来ますし、そもそもアモンが逃げ出してから警備が更に強化されています。
皆さんには安全に生活してもらえると思いますよ。」
「しかし、王都の家賃や物価、税などはこの周辺の村に比べかなり高い。
この村にそれを払える者など多くはいませんよ。」
カーマが慌てながらそう返す。
「それなら問題無いですよ。
国から最初の3ヶ月だけですが補助金を出して貰える事になりました。
それに仕事に関しては私は色んな職種の知り合いがいますからね、仕事の口利きぐらいは出来ます。
それでも職が見つからない方はうちの隊で働いてもらっても構わない。
料理人や雑用係が足りてなんで大歓迎です。」
はっきり言って第伍番隊隊長の提案は魅力的な物だった。
「それなら子供たちの学校に関しては私の古くからの知り合いが王都内で学園を経営しています。
私から頼めばなんとか子供達は全員編入させてくれるかもしれません。
学費も良心的なうえ、成績優秀者には学費免除の制度もあった筈です。」
フムトが言ったその言葉に皆、それなら…というような顔となる。
この国は6才から18才までの間が義務教育で必ず何処かの学校に通わなければならない。
しかし王都にある学校の殆どが私立で学費が高価なのだそうだ。
唯一の国立は王族と選ばれし者の一族しか通学が許されていないらしい。
なのでフムトの知り合いが経営している学校というのは私立でありながら学費が安いという稀有な存在ということだ。
その場にいた者達の誰もが反対の意を示さない。
というよりそれ以外に選択肢が無いのだ。
こうして村のこれからの方針が決まったのだった。
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