筒抜けプライベート

肆部祭まであと3日となり制作物も今日で完成を迎えられそうだ。

部活の時間となり部室へと向かうと既に全員着席していた。

「さて、いよいよ今日で完成となるのだが最後まで集中して組み立てていこう。」

そう言うと部員の皆が声を合わせ「はい!!」と返事をしてくれた。

部品だけで言えば昨日で全て完成しているのでアフロディーテも今日は組み立て班に参加している。久しぶりの皆での作業だ。

完成も間近となりこころなしか皆楽しそうだ。

「よし、それを取り付ければ完成だ。」

ダレンが最後の部品を取り付ける様子を部員全員で緊張半分期待半分といった面持ちで見守る。

最後の部品が取り付けられる。

「出来ました。これで完成です。」

ダレンがそう言ったその瞬間、喜びの声で部室が埋め尽くされた。

「作りながらこまめに動作を確認していたから問題無いと思うが…一応明日試運転して最後の確認をする。そこで問題無かったら本番の為の練習をしよう。今日はこれで終了だ。気をつけて帰れよ。」

部員達が帰った後、俺は外出する準備を始める。今日はイーナが遅番の日である。喫茶店に行き改めてこの夏休みのお礼をしようと思ったのだ。

「お茶を奢らせてもらうぐらいじゃ足りないよな。何が良いかな…」

村の店で何かお礼に良さそうな物を探す事にして部屋を出た。

村の商店街に着くと散歩をしていたアンと遭遇した。

「こんちわっス。科学先生。今日は何処に行くんスか?」

「やぁ、アン。今日も喫茶店だよ。けどその前にちょっと買い物したくてな。」

「荷物が増えるのに喫茶店の帰りに寄るんじゃなくわざわざ行く前に買うという事はそれを喫茶店で誰かに渡すんスか?」

なんて勘の良い少女だろう。

「まぁ…その通りなんだが。

あ、そうだ。何かお礼に良さそうな物を売ってる店知らないか?」

「あー、なる程。イーナっちへのお礼スか。それなら良いお店知ってるっスよ。案内するっス。」

普通に案内を始めようとするアンを制止する。

「ありがたいがアン、ちょっと待ってくれ。何故相手がイーナさんだと分かったんだ?それに“イーナっち”って…」

「そりゃ、あの喫茶店でお2人が一緒にいるところを見たって話も何回か聞いた事あるし…この数週間毎朝イーナっちが宿直室へ行って勤務時間外でも魔力補給してるのも知ってるスよ。」

何それ…怖い。そこまで俺の個人情報は筒抜けなのか…

「…それも村のおばさん達が話してたのか?」

「喫茶店の件はそうっスけど宿直室の件はブレイブスの人達からの情報っスね。私ブレイブスの面々ともそこそこ仲良いんスよ。あの人達村に何か変わった事あったら真っ先に私に何か知ってるか聞きに来るっス。私この村で起こってる大抵の事は見聞きして把握してるっスからね。」

凄すぎるだろ。この少女の情報網。村を守る警備隊すら彼女を頼るレベルとは…

…この村で変な事は出来ないな。(端からするつもりは無いが)

「科学先生が村に来たのもその日の内に知ってたっスよ。ダレンちんと一緒だったからわざわざブレイブスには知らせなかったっスけど。」

「もう…良い。俺が悪かった…。」

「へ?急に何謝ってるんスか?」

確かに別に謝るような事は何一つとして無いのだが何故か謝ってしまった。

早くこの会話を終わらせて余りにも俺のプライベートが筒抜けであったこの現実から目を背けたかったのかもしれない。

あー、頭痛くなってきた…

「安心して下さいっス。流石にお2人の関係とかは詮索するつもり無いっスから。その辺はわきまえているっス。」

もっと前の段階からわきまえて欲しいものだがそれは恐らく無理だろう。

人の噂に戸は立てられないのだ。

「お気遣いありがとうよ。じゃあついでに良い店って所まで案内お願いするよ。」

「了解っス。」


俺はアンに連れられ歩き始めた。


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