襲い来るレインガルーダ


 ウォータードラゴンと一緒にギルドを出て、レインガルーダが巣を作ったという岩山へと俺達はやって来た。


「ここにレインガルーダが巣を作ったらしいんだが……そこら中にそれっぽいのがあって、どれが本物なのかわからないな。」


 見上げている岩山には、巨大な鳥の巣がいくつも出来上がっていたのだ。


「レインガルーダは、卵を産む巣を特定されないために、オスにたくさん偽物の巣を作らせるんですよぉ。」


「そういうことね。」


「でもまぁ、ここはもう縄張りのはずなのでぇ。勝手に襲ってくると思いますよぉ。」


 そう彼女が言った次の瞬間、空から黒い影が俺達の所へと急降下してくる。


「噂をすれば早速ですねぇ〜。」


 ニコニコと笑いながら、彼女は落下してくるそれに向かって手を伸ばす。すると、急降下してきていた巨大な鷲が彼女に捕まっていた。


「随分デカい鷲だな。」


「コレがレインガルーダのオスですねぇ。オスは嘴が青いんですよぉ。」


 そう説明しながら、彼女はレインガルーダの首を圧し折ってしまった。


「一匹確保ぉ〜。これでいくらになるんですかねぇ?」


「さぁ、わからんな。でもまぁ……数のことは心配しなくて良さそうだぞ。」


 チラリと上を見上げると、上空がレインガルーダの大群で真っ黒に染まっていた。そしてそれがマシンガンのように大量に降り注いでくる。


「わぁ〜、大量ですねぇ。でも、一匹一匹相手にするのも面倒ですねぇ。」


 そして彼女は降り注いでくるレインガルーダの群れに向かって手を翳すと、落下してくる進行方向上に巨大な魔法陣が展開された。


「ハングリーウォーター。」


 直後、魔法陣から巨大なドラゴンの頭を模した水が現れ、迫りくるレインガルーダをバクッと一飲みにしてしまう。


「大量確保ですぅ〜。えへへっ、お金がたくさんですねぇ〜。」


 ニヤけている彼女へ、水を避けたレインガルーダが何匹か飛び込んでくる。


「丁度いいな。何匹か貰うぞ。」


 魔包丁レヴァを片手に、眼前に迫ってきたレインガルーダを相手にする。


「食用にするにはこうするしかないんだ、ごめんな。」


 こちらに向かってきたレインガルーダの首を、レヴァで落として足を持って束ねていく。


「まぁこれだけあれば十分かな。ウォータードラゴン、後は任せるぞ。」


「はぁ〜い、まかされましたぁ〜。」


 残るレインガルーダの大群は彼女に任せて、俺は締めたレインガルーダを調理するための準備を始めるのだった。

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